怒りを抑えてはいけない

この時、「腹が立つ」、「ふざけるな」という怒りを抑え付けてはいけません。社会的に受け入れられる形、例えば信頼できる友人に心内を聴いてもらうような形で、やるせない気持ちを出すようにしましょう。

そうすると、怒りは一般的には長続きしない感情なので、一時的に爆発したとしても、何日か繰り返すうちにだんだんと静まり、徐々に冷静さを取り戻します。「悔しいけど、現実の世界では、20歳で病気になることもあるんだ」などと、少しずつ現実と向き合えるようになってきます。

この時、心の中ではそれまで持っていた「こうあってほしい」という考えが形を変えています。「今まで自分が引いていたこうあるべきだという境界線が、実はちょっと間違っていたのかもしれないな」、「20歳で病気になることもあるんだ」、「現実は自分が考えていたよりも理不尽で、厳しいんだ」というような変化が生じてくるのです。

すると「病気になってしまった」という喪失感から、今度は怒りが悲しみに変わるのです。

しっかり怒りつつ、周りとの関係を崩さない方法

実際問題、自分が思っていた「こうあって欲しい、こうあるべきだ」という境界線を引き直さなくてはいけない場面に直面することも、人生の中では少なくありません。しかし、一方で冷静に考えても、やはりその状況のほうがおかしいと感ずることもあります。

例えば、上司との間にトラブルがあった場合、その原因が無慈悲な上司の支配的な関係にある場合などなど、理不尽さが拭えない状況であることも現実社会では十分にあり得ます。

こういう事態に陥った場合、「怒っちゃいけない」と、ひたすら怒りの感情を抑え付けてしまうと、自分自身の心が生き生きした感覚を失い、喜怒哀楽の感情全てがマヒしてしまいます。

怒る気持ちを抑え付けることは自分の大切にしている境界線を自ら放棄することと同義なので、自分の人生を生きているという感覚がマヒしていってしまうからです。

このように腹が立つのに、頑張ってニコニコして、いい人でいようとするのは、人生の楽しみを失いかねない危険な行為なのです。

一方で、めったやたらに「怒り」の感情を表に出してしまうと、社会生活を送る上で問題が生じることにもなりかねませんので、決してお勧めはできません。