「体調不良で休むな」女性はほかの女性の生理に心底冷たい
■事例2.職場の事例
朝、50代会社員のBさんは、女性の部下たちに囲まれる。
「Xさん、また休みなんですか? 毎月月末になると1〜2日休むの、迷惑なんです! B課長から注意してください!」
「体調不良、体調不良って、きっと生理だと思うんですけど、生理がつらいのは私たちだって一緒です!」
Bさんは部下たちをなだめ、その場を収める。翌朝、Bさんは出勤したXさんに声をかけた。
「Xさん、毎月月末に休まれると困るんだ。自分の体調管理も社会人として立派な仕事だぞ!」
「すみません。来月は休まないように気をつけます……」
Xさんはうつむいたまま消え入りそうな声で言った。
女性が女性に「みな我慢している」「体調管理できない人がいけない」
もし、家族や部下が微熱や頭痛、腹痛などの不調を訴えたら、多くの人は優しく気遣うだろう。だが、PMS・PMDDは生理に関係するため、本人も頭痛、腹痛のように気軽につらさを訴えづらい。特に男性に対しては、言いよどんでしまう女性は少なくないだろう。
また、生理があるからといって、すべての女性がPMS・PMDDを知っているわけではない。かえって生理のある女性が「女性はみんな我慢している」「体調管理できないほうがいけない」など厳しいことを言ってしまうことがあり、本人はますますつらくなってしまうのだ。
そういう意味では、性別に関係なく、このPMS・PMDDに関する症状を「知ること」「伝えること」が重要だ。
もし、Aさん、BさんがPMS・PMDDのことを知っていたら?
もし、Aさんの妻やBさんの部下のXさんがPMS・PMDDのことを伝えていたら?
Aさんはつらそうな妻を気遣い、けんかにならなかったかもしれないし、BさんもBさんの部下たちもXさんを責めるのではなく、別のアプローチを選ぶことができたかもしれない。
もちろん、PMS・PMDDの女性がつらさや苦しさを伝える努力や、しかるべき治療を受けることも必要だ。
「PMS・PMDDかもしれない」と思ったときは、症状を下記のチェックシートで確認してみてほしい。これはPMS・PMDD向けの薬を製造しているバイエル薬品が、医療機関などで配布している冊子(※)に掲載しているものだ。
※「生理前カラダの調子やココロの状態が揺らぐ方へ PMS 月経前症候群」(監修:田坂慶一)
これまで知らなかったことを知るだけでも、言動に変化が表れ、家庭や職場の人間関係が円滑になるはず。月経前に以下のような症状で、日常生活に支障がある場合は、医師に相談してほしい。