熱量があれば、いくらでも動ける

イーオン社長の三宅義和氏
撮影=原 貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【三宅】第1回が東京のラフォーレミュージアム原宿で開催されて、これが大成功をおさめました。このとき事務局としての活動は、別所さんが中心となってどんどんやっていかれたわけですね。

【別所】はい。最初は一人です。俳優としての経験はあっても、イベントの裏方の仕事、ましてや映画祭の主催についての知識などありません。本当に右も左もわからない状態からのスタートでした。すべては手探りで、企業に企画書を送ってスポンサーをお願いしたり、官公庁を回って「こんなことをやりたいので、ご支援いただけますか」と頭を下げて回る日々が続きました。

【三宅】企業や役所のご担当者も別所さんが現れて、さぞかし驚かれたかと思います(笑)。では、かなりのご苦労をされたわけですね。

【別所】そうですね。ただ、「人間というものは、自分の中で熱量があるものに関しては、いくらでも動けるものだな」とも思いました。たとえば、アジアのどこかの国で若くて可能性のある映像作家を見つけたら、必死になって連絡先を探し、深夜まで英文メールを書き、慣れない契約書づくりで四苦八苦したものですが、一度も「つらい」と思ったことはありません。

アクターとは「行動する人」である

【三宅】その行動力は昔からですか?

【別所】アメリカで学びました。僕は20代のとき、アメリカの演劇学校でも学んでいて、そのとき得た最大の学びは「アクターとは演技者である前にact(行動)する人である」ということでした。

最初はピンとこなかったのですが、よくよく考えると、アクティビスト(活動家)とは、「理想のために行動する人」のことです。同じように、アクターも「行動を通して人前で何かを表現する人」のことであると合点がいきました。しかも、英語のactには「法令」という意味もあります。僕は法学部出身ですから、「act」というひとつの単語で、それまでバラバラに考えていた概念が一気につながった感覚がありました。

【三宅】一種の「悟り」に近いお話ですね。

【別所】そうかもしれません。それ以来、「人生とはどんな行動をするかにかかっている」と思うようになり、映画祭についても「俳優としてどれだけ忙しくても、自分が行動を起こし、日本、そしてアジアの映画業界に新しい風を吹き込む」と決意することができたのです。