日本作品の「間合い」に世界が注目

【三宅】ちなみに日本のショートフィルムは世界からどのような評価を受けているのでしょうか。

【別所】日本の作品はそれぞれ個性的でありながら、世界の人から見ると、会話の中に「間の文化」や「あうんの呼吸」を反映した独特のリズムがあるとよく言われます。そのリズムを作っているのは役者の演技だけではなく、編集の影響が大きいのですが、そういった間合いに興味を持っていただくことが多いですね。

それから、やはりアニメーションは日本の宝です。アニメやマンガを生み出す文化から、どんなショートフィルムが作り出されるのか、世界中の人が注目しています。僕は今度の映画祭で、文化庁と共に「日本博」というプロジェクトを仕掛けるのですが、そこでは日本の古き良き昔話や民話を英語に替えて、さらに映画に変えて、世界に届けていきたいと思っています。

【三宅】それは面白そうな取り組みですね。

映画祭の今年のテーマは「ボーダレス」

【三宅】今年は新型コロナの影響で開催が延期になったと聞きました。仕方なくとはいえ、前例がないですから準備も大変でしょう。

【別所】これまで毎年6月に開催してきたのですが、今年は9月16日~27日にかけて開催します。会場も用意しますが、並行してオンライン開催もしっかりやっていきます。たしかに準備は大変ですが、アカデミー賞も、ベルリンやカンヌ、ベネチアなどの国際映画祭も、みな新しい形を模索している最中ですからね。

【三宅】今年のテーマは?

【別所】ウィズコロナの時代だからこそ、テーマは「(ニュー)ボーダレス」としました。新しい枠組みのなかでどう映画を作っていくか。そして、新しいボーダレスの社会とはどういうものになっていくか、ということをメインテーマにします。

【三宅】これを機に私もショートフィルムの世界を体験してみます。