切れ味鋭いコメントで政治や行政問題に切り込む橋下徹氏は、7人の子を持つ父親でもある。ある晩、時事問題を題材に子どもたちと議論を始めたところ……。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(8月25日配信)から抜粋記事をお届けします。

未成年者が酒を飲んだら罰せられるの?

ジャニーズ事務所のタレント山下智久さん(山P)が未成年者と飲酒した、と週刊文春が報じたことで、山下さんはタレント活動を自粛することになった。うちの子どもたちも関心を持っているようなので、このたびの“文春砲”とその影響を題材に、即席でリーガルマインド(法的思考)の授業を開いてみることにした。

僕はまず、

「未成年者が飲酒をしたら罰せられるのか?」

「そのとき一緒にいた大人はどうなるのか?」

こう子どもたちに問うてみた。

子どもたちは「そりゃ罰せられるでしょ。未成年者が酒を飲んだらあかん。その場にいた大人も一緒」と答えた。

(略)

僕はしつこく「道徳的にあかんということと、罰則まで付けて法律で禁じることとの違いはないか?」と問うた。

インフィニティアイコンが付いている木製の男の頭部のシルエット
写真=iStock.com/voyata
※写真はイメージです。

もう子どもたちは、僕が何を聞いているかわからなくなっている。

僕は「人間のある行為を、罰則まで付けて法律で絶対に禁じる理由はなんやろ?」と誘導しにかかった。

子どもたちは「その行為はあかんことやから」とトートロジー(同義語反復)に陥った。

(略)

「道徳的にあかんことは世の中にたくさんある。その中から特にあかんものについて罰則を付けて禁じたものが法律。罰を付けるくらいやから、それは他人を傷つける行為(他者加害)について禁じるのを原則としている。殺人とか傷害とかね」

「未成年者が酒を飲んで誰を傷つける?」

子どもたちは黙ったまま。