行動するニューリーダーを見守りたい

誤解を恐れずに言えば「何もしない国」よりも、よほど立派である。指導者への信頼が失われ、それ自体がもはや危機といえる中で、失敗を恐れずチャレンジしていく姿勢は全否定されるべきものではないだろう。前出の毎日新聞などの調査で吉村氏と並んで高い評価を受けた東京都の小池百合子知事は、このタイミングでの「Go To トラベルキャンペーン」開始について「冷房と暖房を両方かけることにどう対応していけば良いのか」と見直しを要請。さらにお盆シーズンに関しても「この夏はコロナに打ち勝つことが最優先」と帰省を控えるよう求めた。

だが、今や「東京問題」「沖縄問題」などと自治体批判を仕掛け、政権に厳しい批判が向かわないよう躍起になっている安倍官邸は今回の「大阪問題」についても、ほくそ笑んでいるようだ。ちなみに、読売新聞などの世論調査によると、国がキャンペーンを強行したことは「適切ではなかった」との回答は85%に達し、お盆期間中の帰省については「自粛すべきだ」が76%に上っている。国と小池氏のどちらが国民の皮膚感覚に近いか一目瞭然だろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は8月7日の記者会見で、政府による情報発信について「不十分、改善の余地がある」と苦言を呈した。

もっとも、吉村氏が副代表を務める日本維新の会は「イソジン会見」への批判に加えて、東京維新の会メンバーでもある赤坂大輔・東京都港区議会議員が8月6日に公然わいせつの疑いで逮捕されるなど、厳しい局面を迎えているのも事実だ。普段、維新メンバーは「情報公開を!」と声高に言っているものの、こうした事態にほとんど沈黙する姿を見せられ、辟易とする人々もいる。実際、全国紙の政治部記者からは「維新の政党支持率が上昇したのは『吉村人気』があったから。そのバブルが弾けてしまった今、維新は終わった」と冷めた見方も広がる。だが、それらも含めて日本を背負って立つ「ニューリーダー」を温かく育てていく必要があるのではないか。

「吉村総理」もありえる

年内実施が見込まれる次期衆議院選挙で、仮に自民党の議席が大幅に減少するようなことがあれば、同党は維新に連立政権を組むよう求めるだろう。そのような局面では、維新の議席数がたとえ少なくても「てこの原理」が働き、維新の主張を受け入れなければ内閣が瓦解する局面を迎えることもある。「維新=吉村氏」が唱える改革を一気に進めるチャンスが到来するかもしれないのである。場合によっては近い将来、維新から「首班」というケースも出てくる可能性すらあるだろう。今は府知事として活躍している身ではあるが、今年11月に「大阪都構想」の是非を問う住民投票で悲願が成就すれば、「それ以降はいつ国政復帰してもおかしくない」(全国紙社会部記者)。

持ち上げては落とすメディアの洗礼を浴びる吉村氏が、真の「ニューリーダー」になれるか否かの判断をするにはまだ早い。人気ドラマ『半沢直樹』で伊佐山部長にののしられた大和田常務のような「土下座野郎」になるのか。それとも「倍返し」で国の舵取りを担うまでに成長するのか。先が見通せないコロナ禍にあっても、ただ1つ言えることは、吉村氏がこのまま勢いを失ってしまうようならば、所詮はそれだけのつまらない男であったということだけだろう。

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