どうすれば徴用工問題は解決できるのか
8月7日付の読売新聞の社説は書き出しからこう文在寅政権を批判する。
「韓国人元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)の訴訟問題を巡り、文在寅政権は善後策を講じてこなかった。事態悪化をこれ以上放置し、日韓関係の基盤を壊すことは許されない」
文政権が善後策を講じてこなかったのは明らかだが、日韓関係の基盤を壊すことなく、維持していくにはどうすればいいのか。この命題を頭に入れて読売社説を読み進めてみよう。
読売社説は指摘する。
「今後数カ月で現金化まで進めば、日韓関係は抜き差しならない状態まで悪化しかねない。問題は一企業にとどまらず、1965年の国交正常化以降の日韓の協力関係そのものにかかわる。文政権はどこまで理解しているのか」
「65年の日韓請求権・経済協力協定は請求権問題の『完全かつ最終的な解決』を定めている。韓国の歴代政権も、元徴用工の扱いも対象に含まれるとみなしてきた」
「だが、2018年の最高裁判決は、日本の植民地支配を『不法』とみなす立場から、元徴用工の慰謝料請求権を認めた。文政権は『三権分立』を口実に、2年近くも解決を先送りにしてきた」
それぞれの指摘はもっともだが、なかなか命題に対する答えは出て来ない。読売社説はどうすれば、徴用工問題が解決できると考えているのだろうか。
韓国の一方的な誤認を国際社会に訴え、文政権に打撃を加えるべきだ
さらに読売社説は指摘する。
「問題の根底には、『元徴用工は強制的に連行され、奴隷のように働かされた』といった韓国側の誤った認識がある。朝鮮半島での労働力動員が法に基づいて行われ、多くの人が自発的に応募したという史実がゆがめられてきた」
韓国のこうした誤った認識は、日本を敵とみなす反日種族主義から生まれてくる。文政権の日本に対する対応も、これに基づいている。反日種族主義自体をなくすことは難しいが、日本が国際社会に韓国の一方的な誤認を訴え、文政権に打撃を加えることは可能だ。
読売社説も「国内の司法判断や政権の思想的立場で、国家間の約束をほごにはできない。それでは、安定した外交関係は成り立つまい」と書いている。
ただし、新聞の社説としてはもう一歩突っ込んでほしかった。具体的な解決策を示してほしかったと思う。