支離滅裂な韓国の主張

元徴用工への賠償について見るには、外務省が2019年7月29日に公表した日韓請求権協定の交渉過程で韓国側が示した「対日請求要綱」が分かりやすい。8項目で構成される要綱には「被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する」と記載。1961年5月の交渉で、日本側が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねたのに対し、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答していたではないか。韓国政府が一括受領したうえで、その責任において分配するというのは韓国側の希望だったはずだ。

2005年8月、韓国政府は日本からの3億ドルの中には「苦痛を受けた歴史的被害」も含まれていると確認している。お金を受け取っておきながら「救済」には適切に回さず、経済発展を優先させたのは韓国政府であり、日本側の責任ではないのは言うまでもない。これが韓国の好む「歴史」の事実だ。

韓国政府の“逃げ恥”姿勢

河野太郎外相(当時)が2019年9月4日に配信された米ブルームバーグ通信への寄稿文で「もし国際的合意が一国の国内事情によって破られることが可能となれば、我々は安定した国際関係を維持することは決してできないだろう」と激オコなのは当然だろう。加えて、河野氏は「大法院の判決後、日本は累次にわたり韓国政府との間での外交上の協議を求め、1965年の協定に定められた仲裁の付託を通告した。

しかしながら、「韓国政府は同意しなかった」と明らかにしており、風呂敷だけ広げておいて司法の判断を盾に「逃げの一手」を繰り返してきたことがうかがえる。日本政府は日韓請求権協定に基づき仲裁委員会の設置を要請したものの韓国側は拒否。「逃げるは恥だが役に立つ」とでも思っているのだろうか。