病院へ診察に訪れる人が減った

新型コロナウイルスによって日本人の行動様式は大きく変わりました。医薬業界でいえば、病院へ診察に訪れる人が減ったことが挙げられるでしょう。コロナによって不要不急の外出が制限され、病院に行くことによる院内感染のリスクなどもあり、よほど重篤な症状でなければ病院に行かないという人が出てきました。聞くところでは、最も患者が減ったのは小児科で、耳鼻科、整形外科、皮膚科、眼科あたりもかなり減少したようです。

コロナウイルスCOVID-19ワクチンを準備する医師
写真=iStock.com/FilippoBacci
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そもそも、なるべく外出をしない、外出時もマスクを着用する、手洗い・うがいをする、消毒の励行などは多くの感染症に有効な対策となるため、風邪やインフルエンザといった感染症にかかる人自体が大きく減りました。結果として、一部の薬剤は売り上げを落としています。特に医療機関での処置に伴って使われる薬や健康診断の試薬などは使用頻度が大きく減少しました。とはいえ、医薬品業界はコロナの影響については比較的軽微だったといえるでしょう。

コロナといえば、治療薬やワクチンの開発状況を気に掛けている人も多いと思います。治療薬はいま、世界の製薬メーカーがこぞって開発をしていて、すでに数百の薬が検討されています。富士フイルムの「アビガン」も注目を集めましたが、最終的には1つか2つ、有効性が確立された優れた薬があれば、それで事足りる可能性があります。その中に入るのは、競争率の高さから考えても容易なことではありません。