[4] 部下の最も根源的なモチベーションを掻き立てる
期待の設定・達成のこの最後の要素、部下のモチベーションを掻き立てることは、マネジャーにとってえてして最も難しい。しかしこれは、高いパフォーマンスを引き出すための最も重要な要素になることがある。
「人間は、そうすることが自分にとって利益になると思えば期待を達成しようという意欲を起こす。他人から指示されたからといってやる気になるものではない」と、ヒューストン大学の経営学教授、カート・テュフェールは言う。
「マネジャーは、それぞれの部下が何によって最も意欲を掻き立てられるかを、彼らと話し合いながら見きわめなくてはいけない。それは競争なのか、職場での親密な人間関係を築くチャンスなのか、それとも何か他の見返りなのかをね」
経営コンサルタントのロバート・キャノンは、モチベーションを別の角度からとらえている。「ほとんどのマネジャーが世界を問題の観点からとらえて、否定的な言葉を口にする。しかし、『問題がある』と言われて気分が高揚する人間はいない」。キャノンは、クライアントが肯定分析計画法(appreciative inquiry)を用いて期待を前向きな言葉で表現するのを手助けしている。「肯定分析計画法によって、マネジャーと部下は、何がうまくいっているかということや、利用できる資産として何があるかを明確にすることができる。そして、考えられる望ましい将来像を描き出し、それを実現するための実行可能な方策を考えて、実行する。マネジャーは部下にやり方を指示するのではなく、肯定分析計画法を使って、それをすることがなぜ重要なのかを説明するわけだ。
『やり方』は部下に任せよう。そうすれば部下は設定された期待により納得し、より主体的にそれに取り組んでくれる」。
(翻訳=ディプロマット)