ウソをつくことは倫理に反する。場合によっては法にも反する。おまけに、戦略的にもマイナスな場合が多い。ウソをつかないで自分の望むものを手に入れるためにはどうするか。
大手消費財メーカーの部長ダニエルは、担当部署の詳しい予算要求書を提出するよう副社長から命じられている。ダニエルには予想コストを過大に見積もる動機がある。予算オーバーになったとき、予算にもともと多少の余裕が組み込まれていれば、会計年度の途中で予算の増額を願い出なくてもよいため、なにかと都合がよい。
しかも水増し要求の誘惑に屈する部長はダニエルだけではない。そのため、各部の要求の合計額は会社全体の予算を上回ることになる。副社長は、各部が「本当はいくら必要なのか」をきちんと見抜けない。必然的に、必要以上の予算を与えられる部もあれば、十分な予算をもらえない部も出てくる。ダニエルは要求どおりの予算を獲得するが、当初の要求を正当化するために、余裕分を無駄遣いしてしまう。
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