若いビジネスマンを取り込むために必然だった
加えて、オンワードには、もう一つの課題があった。採寸から納品まで1週間という画期的な短納期を実現して好調に離陸したスマートテーラー事業の「KASHIYAMA」も、スーツ需要の衰退もあって計画通りには伸びず、顧客層を広げる必要があったのだ。
スマートテーラー事業を手がける子会社のオンワードパーソナルスタイルは、実質初年度の19年8月期は5万6000着、37億円を売り上げたが、大連の第2工場が稼働した20年2月期は60億円を計画しながら43億2900万円にとどまって18億3300万円の営業損失を出し、21年2月期で150億円という計画の実現も危うくなっていた。ZOZOへの再出店を検討する中、若いビジネスマン&ウーマンのスーツ(セットアップ)需要を取り込みたいスマートテーラー事業を提携の柱とするに至ったのは必然だった。
オンワードとZOZOで提携の思惑は微妙にすれ違っていても、互いに必要としていたことは間違いなく、結果としてウインウインの関係が成立するのではなかろうか。