「派手でチャラそう」なボンバーヘアの裏側

【三宅】とはいえ、プロの世界に行くと、誘惑も多いのでは?

イーオン社長の三宅義和氏(左)と元サッカー日本代表の中澤佑二氏(右)
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏(左)と元サッカー日本代表の中澤佑二氏(右)

【中澤】時代的にもJリーグは非常に華やかで、夜な夜な六本木界隈を練り歩く選手も多くいましたが、僕は行きませんでしたね。

【三宅】中澤さんというと、「ボンバーヘッド」が印象的で、非常に端正な顔立ちですから、なんといいますか……。

【中澤】派手でチャラそう、ですよね(笑)。いつも誤解されますが、実生活は真逆です。六本木も車で通り過ぎることはありますが、降りたことがありません。いまだに六本木は少し怖いイメージがあるくらいです(笑)。

【三宅】その髪型にされたきっかけはあるんですか?

【中澤】プロになる前にヴェルディで練習生をしていたのですが、スカウトの目に留まるために「少しでもグラウンド上で目立たないといけない」と思って、はじめたことです。当時は木村拓哉さんがロン毛でめちゃくちゃカッコよかったのですが、僕の髪質的にどんどん頭が膨らみまして……(笑)。でも逆に「これは目立つな」と思って、このヘアスタイルを通すことにしました。

「モテるためにサッカーをやっているのか」

【三宅】当時の周囲の反響はどうだったのですか?

【中澤】「見た目を気にする暇があったら練習しろ」とか、「モテるためにサッカーをやっているのか」とか散々言われました。とくに日本人は見た目を重視するので。

【三宅】誰よりも真面目に取り組んでいるというのに。

【中澤】目立とうとしていたことは事実なので、誤解されても仕方がないですよね。ただ、「見た目を派手にしているからこそ、なおさらサッカーに対して真剣に取り組もう」と自分を追い込めた気がします。他の選手よりも真面目に取り組んでいることを、日々の行動を通して理解してもらう。すると周りの人も徐々に「見た目はあんな感じだけど、ちょっと背伸びをしているだけだ。やることはちゃんとやっている」と言ってくれるようになりました。

【三宅】そうやって、少しずつ信頼を勝ち取っていったんですね。