サッカーはつらいものだと思っていた少年時代

【三宅】日本代表としても大活躍された中澤さんですが、サッカーを始められたのは小学校6年生とお聞きしました。一般的なサッカー少年と比べると遅いですよね?

イーオン社長の三宅義和氏
撮影=原貴彦
イーオン社長の三宅義和氏

【中澤】遅いと思います。友達に誘われてクラブチームに入ったのがきっかけだったのですが、それまでサッカーの試合をまともに観たことすらありませんでした。ですから特に夢や志があって始めたわけではないのです。

【三宅】いざ始めてみたら「これは楽しい!」と感じたのですか?

【中澤】いや、むしろつらいなと(笑)。小学校の授業でやるようなサッカーは楽しかったのですが、クラブチームの顧問の先生が超スパルタの、何かあれば鉄拳制裁という昭和スタイルの指導で……(笑)。

【三宅】当時はそれが当たり前でしたからね。

【中澤】はい。それで中学1年生のときに一度やめようと思ったのですが、父から「お前がやりたいと言ったんだから、最後までちゃんとやれ」と言われまして、退路を断たれた感じで続けました。「サッカーって、なんでこんなに怒られるスポーツなんだろう」とブツブツ言いながら(笑)。おかげでメンタルは相当鍛えられました。

【三宅】最近はだいぶ環境が変わりましたね。

【中澤】そうですね。サッカーに限らず「スポーツをもっと楽しもう」という考え方の指導者が増えてきたのは良いことだと思います。

プロを目指し、中学3年生から食生活の改善に着手

【三宅】中澤さんといえば、「揚げ物を一切食べない」「早寝早起きを徹底する」といったストイックな生活信条で知られています。こうしたことは何歳くらいのときから意識されたのですか?

【中澤】中学3年生のときに「プロサッカー選手になりたい」という夢をはじめて抱いてから、少しずつですね。

【三宅】それは早い! しかも、すぐに行動に移されたところがすごいですね。

【中澤】最初は食べ物から入りました。母親に聞いたり、自分でいろいろ調べたりしながら、体に良いと言われるものを取り入れ、逆に悪いと言われるものは排除することからはじめました。プロになってからは、管理栄養士の方と相談しながら、自分が毎日できることを習慣としてどんどん取り入れていった感じです。

食生活にあまり気を使わないプロ選手も昔は多かった。僕が長い現役生活で大けがを一度もしなかったのは、食事のおかげだと思っています。