中国の新興企業が大量参入している
それを予感させる事態はすでに始まっている。電気自動車は製造技術がそれほど複雑ではないので、現在、中国国内では、これまで自動車など作ったことがなかった新興企業が大量に電気自動車業界に参入し、競争が熾烈になっている。しかも、中国政府は国内産業の振興を推進するため、さまざまな優遇措置もとっている。
また、中国へ進出している外国の自動車メーカーは、必ず中国企業と合弁しなければならないうえ、技術の供与を義務付けられているので、中国企業は外国企業のいろいろな先進技術に容易にアクセスできるというメリットを持つ。
電気自動車生産トップ5には中国勢が3社
そうでなくても中国企業の技術獲得モチベーションは高く、当然のことながら、外国企業にとっては、知的財産の保護は至難の技だ。うかうかしていると、あらゆる技術を中国に攫われてしまいかねない。
2019年、電気自動車生産における世界のビッグファイブのうち、2位から4位をすでに中国勢が占めている(1位はテスラ、5位が日産)。今のところ、中国の電気自動車はEUには進出していないが、それが始まれば、世界の自動車地図は塗り変わるかもしれない。つまり、中国はドイツにとって、重要なお得意さんでありながら、危険なライバルでもあるという、非常に微妙な存在になりつつある。