「売れている」と言ってもまだたいした数ではない

2018年、ドイツで新しく登録された電気自動車は、3万6062台だった。これは、新規登録車全体の1%にすぎない。では、同年、登録されている全乗用車のうちの電気自動車の割合はどれくらいだったかと言うと、たったの0.09%だ(連邦自動車庁/Kraftfahrt-Bundesamtより)。つまり、ドイツの公道を走っている電気自動車の割合は、全体の1000分の1にも満たない。したがって、日産リーフが善戦していると言っても、たいした数ではない。

2017年、ヨーロッパでリーフが一番売れたのはノルウェーとイギリスで、新規登録台数が、それぞれ2万2743台と2万2299台。これはひとえに潤沢な電気自動車援助の補助金のおかげだ。ドイツでも潤沢な補助金は付いているが、あまり追い風にはなっておらず、2018年、新規に登録されたリーフは、わずか2380台だった。

それに比べて日本でのリーフの売り上げは年間8万5000台を超える。日本には、その他にもハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドで活躍中の車も多い。ハイブリッドを電気自動車と見るかどうかという議論は残るが、いずれにしても、ガソリンだけに頼りきっていないという意味では、日本やアメリカのほうがヨーロッパよりはだいぶ進んでいる。

なんとしても国産産業を確立したい中国

もう一つ電気自動車が急伸しているのは、もちろん中国だ。具体的な数字で見てみよう。中国で2017年に新しく登録された電気自動車の数は60万台で、翌年には150万台と2.5倍。2位のアメリカも、同時期に20万台から50万台へと伸びたが、すでに中国には大きく水をあけられている。

2018年、中国で走っていた全電気自動車数は約260万台。2位がアメリカで約120万台だ。しかも、中国の電気自動車数は、すでに登録されている全乗用車の2%に上る。アメリカの場合は、乗用車の全保有台数が1億2000万台(2016年時点)を超えているので、電気自動車の割合は1%に満たない。ドイツの電気自動車普及率が、まだ0.1%にも届かないことはすでに述べた。日本はと言うと、純粋な電気自動車の普及率は0.53%(ちなみに、プラグイン・ハイブリッドは0.48%だった)。

2015年、運転免許取得可能な年齢の1000人当たりの車の保有台数は、アメリカでは788台、ドイツでは548台、中国は73台だった。つまり、中国の車の需要はこれからまだまだ膨らむ。特に電気自動車は、国産産業の育成という意味もあり、中国政府が強力に推しているため、この先、急速な伸びが予想される。