父親が育休を取ると子の将来の偏差値もアップする
父親が育休を取ると子どもの成績に好影響があるかもしれない。
「ノルウェーの研究によると、お父さんが育休を取得した場合、子どもが16歳になったときの偏差値が1ほど上がるという結果になりました」
たった1と思うかもしれないが、経済学的に見れば偏差値1アップは小さなインパクトではないそうだ。父親の育休で上がるならばトライしてみる価値はあるだろう。ただし、父親が勉強を見る時間が増えているからなのか、ほかに理由があるのか、偏差値アップの原因はまだわかっていない。
「父親が子の勉強を見ているため、父子間のいい関係が続いていると考えられます。短期の育休でも、そこから始まった親子関係の深まりと安定が持続するということは十分考えられます」
一方で、男性が育休を取ることで所得が減ってしまうというショッキングなデータもある。
「ノルウェーの調査では男性が育休を4週間取ることで所得が2%減り、しかも子どもが5歳に成長してもこの影響は続くという結果が出ました。同様の調査はスウェーデンでもあります。育休後、子育てや家事に熱心に関わるようになり、仕事に向けるエネルギーが減ったのではと研究者は推測しています」
家族と過ごすという楽しみが増え、仕事を早く切り上げる人が増えているなら、収入が多少減るのは仕方のないことかもしれない。
出産後5年時点での離婚率が23%から17%に大幅ダウン
父親が育休を取得すると、夫婦の絆は深まるだろうか。離婚率にはどう影響するか?
男性の育休と離婚率の関係を見ると、アイスランドでは男性育休制度を導入する前と後で出産後5年時点での離婚率が23%から17%に大幅ダウン。夫婦の絆にいい影響を与えているように見える。ところが、スウェーデンでは、産後3年以内に離婚する割合が男性育休創設の前後で12%から13%にわずかに上がった。
「しかし産後5年以内の離婚率を比べると変わりませんでした。つまり、スウェーデンでは遅かれ早かれ離婚するカップルが、育休を取ることで離婚する時期が早まっただけという考え方ができます」
男性が育休を取ることで離婚が早まった原因は以下の三つが考えられるそうだ。
・夫婦の相性の悪さに早く気が付いた
・夫にとって育児がストレスになった
・収入減少による家計のストレス
夫婦の相性については解決するのは難しいかもしれないが、残りの二つの原因は、子どもが生まれる前の準備で離婚が防げるかもしれない。
「子どもができることで、夫婦ともに生活や役割が大きく変わります。妊娠期間を通じて母への準備をする女性に比べて、男性はなかなか気持ちの準備が進まない。夫婦ともに必要なのは、変化に対する心構えではないでしょうか。夫婦二人から父親・母親になっていくための支援もあるといいですね」と山口さんは言う。