「Performance」と「Values」で評価をする

GEでは、図表2にある縦軸の「Performance」で、設定した業務目標に対する達成度合いを評価し、横軸の「Values」はその業績をどのようにGEバリューに則って達成したのかというプロセス評価をします。その評価のウエートは50対50です。その結果が従業員個人の総合的な評価になり、図表2の中の9個のブロックのどこかに位置付けられることになります。

GEの人事評価制度について知っている人は、以前の「9ブロック」を思い浮かべると思います。この新しい2軸による業績評価が2008年に導入されるまでは、縦軸に「全体的な評価」、横軸に「昇進可能性」を置き、チームや組織における人材をマップのようにして見える化していました。

『クロトンビル 世界最高のリーダーを育てる組織』(KADOKAWA)より
『クロトンビル 世界最高のリーダーを育てる組織』(KADOKAWA)より

GEの個人業績評価システム

さて、各職務等級において、上位10%から15%以内に2~3年の間ランクされ続けると、研修の対象候補者として上司や担当人事スタッフに認識されます。そして毎年全世界のGEで行われる「セッションC」(人と組織のレビュー=棚卸し)を経て、個人ごとにどの研修に参加するかが決まります。

この「セッションC」も知っている人が多いと思いますが、ポイントだけ説明します。セッションCで取り上げるトピックは、「個人の業績評価」「組織の現状のレビュー」「変化のためのプランニング」の3点と、「重要なリーダーシップ・ポジションの後継者プラン」の作成です。これらについてビジネス・リーダーと人事リーダーたちが議論します。

「個人の業績評価」は、EMS(Employee Management System)をベースにして従業員一人ひとりの評価を行います。EMSはGEの全世界全部門共通の社内システムで、「社内履歴書」兼「評価記録」兼「キャリアプランナー」です。

「組織の現状のレビュー」では、人員計画や組織のあり方、組織変更プランを検討します。

「変化のためのプランニング」では、まず優秀社員をハイライトし、先述のように研修プランを練ります。次に非優秀社員に対してどのようなアクションを取るか検討します。

私がGEを退職した2014年頃、アメリカの企業で人事評価をやめる動きが出てきました。GEも翌年にかけて人事評価をやめましたので、現在ではこの制度はなくなりましたが、仕組みとして参考になると思いますので紹介しました。

【関連記事】
「年収450万円が一番幸せだ」と年収8000万が語る理由
年収700万を超えると地獄…助成金の恩恵ほぼなし
百貨店に倒産の足音…コロナ後、給料が「上がる仕事」「下がる仕事」全8業界を公開
在宅勤務で「サボっている」と思われないための3つのコツ
「チャレンジしない子」「打たれ弱い子」が日本で量産されるワケ