十把一絡げの研修では切磋琢磨が生まれない

クロトンビルは、GEのトップ・パフォーマーたちに、彼らがお金以上に欲しがっているもの、そしてお金を払っても手に入れることができない成長の場を提供することを使命としています。

具体的に言えば、ある優秀なGEの従業員がいて、その人に他社からヘッドハンティングがかかったとします。GEよりも良い報酬や待遇が提示されます。そのようなときに、その人の頭の中に「もし転職してGEを離れたら、もうクロトンビルの研修が受けられなくなる」という思いを起こさせ、その転職のオファーを断らせることができるような研修をしなくてはならないのです。

研修には、厳しい選抜基準を経た選ばれし者だけが集います。そこは仲間との切磋琢磨の場であり、また世界中の同僚たちと結び付くことができる場でもあります。

こうしたことは、トップ・タレントから、あまりパッとしない人たちまでを混ぜた「十把一絡げ」の参加者による研修では、実現できないのではないでしょうか。

日本企業でも選抜研修が浸透してきましたが、第一期生が一番優秀で、回を追うごとにだんだんと普通の人たちが参加するようになるのは、よく見られる現象です。それでは選抜研修とは言えません。それは単に同じ階層や職能等級にいる人たちが、上位の優秀者から順番に研修を受けているにすぎません。

もしこうした現象が自社で見られるとしたら、選抜に値する人材が対象層の中ですぐに枯渇してしまう理由をよく考えなくてはなりません。単に従業員の数が少ないといった理由だけではないはずです。採用、異動、昇進・昇格などの仕組みに問題点がないか検証する必要があります。

「個人の業績」を何で測るか

ここで先に述べた業績評価に関連して、GEにおける「パフォーマンス(業績)評価」について紹介しておきます。

狭義の業績評価は、達成することが期待される業務目標をどの程度達成したのかを評価することであり、これはどの会社でも行っていることでしょう。広義の業績評価は、業務上の目標の達成度合いだけでなく、その目標をどのように達成したかというプロセスと併せて評価することを意味します。この評価方法も、多くの企業が取り入れています。