細やかな気遣いで最後まで相手を気持ちよく
接待のときの話題だが、私は「どちらかというと仕事の話」(2000万円稼ぐ人の54.4%。グラフなし)をしている。割合でいうと、仕事の話が7~8割、くだけたバカ話が2~3割程度だろうか。
例えばわが社ではいま、トヨタ自動車の問題解決教材の開発をさせていただいている。日頃はひたすら教材の中身についての議論をしているが、接待の場だと「トヨタにとってなぜ問題解決が大切なのか」「わが社はなぜビジネススキルの体系化をしたいと考えたのか」などといった、お互いの仕事の背景に関する四方山話ができる。こういった日常の仕事の場ではなかなか話せないことを話し、お互いを深く理解できるのが接待の場だと考えている。
せっかく接待の時間をもらったなら、話を盛り上げてぜひ二次会に駒を進めたい。2000万円稼ぐ人のマジョリティは、「一次会後」(44.5%)に二次会の誘いをしているが、相手の都合もあるため、私は二次会の開催を事前に伝えるようにしている(プレゼン格差28)。しかし、お互いの理解を深める趣旨を貫くべく、二次会はゆっくり話せる「ホテルなどの高級バー」(16.4%)や、カジュアルなバーに行くことが多い(プレゼン格差29)。
とはいえ、2000万円の人でもカラオケに行くこともある(10.0%)。ただカラオケでも、騒いで「楽しかったな」で終わらせては意味がない。例えば相手がB'zの1990年代前半の歌を歌ったなら、「その年代はやっぱりいいですよね」と言って自分も同じ年代の歌を歌うなど、相手の気持ちを受け入れよう。
接待の極意は、最初から最後まで細やかな気遣いで相手を心地よくさせること。アンケートを見ていると、2000万円稼ぐ人は、仕事さながらのプロ意識を持って接待をしている姿勢が感じられる。
接待のみならずアンケート全体を見て伝わってくるのは、2000万円稼ぐ人のプロ意識の高さだ。「社内でのアピール」「プレゼンテーション前の準備」「プレゼンテーション本番でのテクニック」「接待」は、どれもこちらの提案に対する「YES」を引き出すための手法にすぎないが、「相手の要望をしっかりと掴み、それに応える」ためにその都度その都度、最適なものを選ぶこだわりが貫かれている。
プロ意識の中には、「日頃の心がけ」によるものと「立場の違い」からくるものとがある。例えば、報告時の上着着用は「日頃の心がけ」によるもので、誰にでもできることだが、やる人とやらない人では大きな差が出てしまう。いま2000万円稼ぐ人にはそれなりの理由がある。彼らから学べることは学び、実践してみてもらいたい。
また今後昇格したり、転職したりするなど立場が変わったなら、それまでの自分の振る舞いを見直してみてもらいたい。立場に応じた振る舞いに変えていくことで信用が高まり、その信用がさらに次の仕事を呼び込む。いま2000万円稼いでいる人も、500万円の時代から努力しながらこの地道なサイクルを回してきたのではないだろうか。