画面で説明して資料は最後に渡す
プレゼンテーション時のパワーポイントの画面や資料の使い方で、2000万円稼ぐ人は「画面メーンで資料は渡さない」が16.5%で、500万円台の人は7.7%のみだった(プレゼン格差17)。プレゼンテーション中は話に集中してもらうために「画面メーンで、資料は最後に渡す」のも手である。事前に資料を配布するとそちらに目がいき、説明のペースに引き込むことができなくなりがちだからだ。試したことがない人も、ぜひ「画面メーン」にトライしてほしい。
プレゼンテーションの意義や目的を説明する前に、初っ端の部分で良好な雰囲気を演出すると良い結果を招くことが多い。雰囲気づくりのために最初に話す内容として最適なのは「相手」に関するテーマだ(プレゼン格差18)。
2000万円を稼ぐ人はその点を理解しており、最初の話題に「相手企業に関するニュース」(15.0%)や、「相手企業の基本情報」(8.0%)を持ってきて「御社のことを気にかけていますよ」という雰囲気をアピールしている。この2つの話題で入る500万円台の人はわずか12.2%である。
ついつい隠したくなる自社の提案の弱みだが、2000万円稼ぐ人の56.5%がプレゼンテーション時に「弱点も含め正しく話す」と答えている。500万円台の人は、40.3%で、両者の差は16.2ポイント。大きな案件を提案をする人は、「嫌なら無理強いしません」「気に入ったらやりましょう」と提案内容に自信を持っている証のような結果だ(プレゼン格差19)。
前述のプレゼン格差2では、2000万円を稼ぐ人で「実績報告を大きく言う」人が11.5%いた。自分の実績のある分野では強気に出るのもプラスとなろうが、不得意な分野での提案を「任せてください」と安請け合いしたり、短所を隠して提案したりしてもお互いにメリットはない。むしろ後でトラブルになることを考えると、正しい情報を相手に持たせたほうが効率がいい。
「この提案の長所はここ、短所はここ」とはっきり言い、お互いが合意して契約しておけば、万が一トラブルが発生した際でも、「そこが弱いのはわかっていたから」と納得してもらいやすい。ビジネスでは、短所を差し引いてもなお余りあるような提案を行うことが求められているのではなかろうか。
私自身も、独立した当初はすべての要望に対して「お応えできます」「こんなこともできます」と言っていたが、結局無理なものを受注すると自分も、社員も、お客様も全員が不幸になることに気づいた。あるときから「これはできます」「それは無理です」とはっきり言うようにした。「できません」と言った途端に「お断り」になったとしても、かえってお互いに無駄な時間を費やさずに済むというメリットもあるのだ。