「キャッシュレス決済の還元」に釣られて、想定外の浪費

スマホ決済アプリは、消費増税時のキャッシュレス・消費者還元事業によるポイントバックをきっかけに普及しました。クレジットカードやデビットカードなど俗にいうプラスチックカードに加え、スマホ決済もじわじわと増えていきました。

バーコード決済
写真=iStock.com/loveshiba
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Tさん宅の支払い方法がキャッシュレス決済に変わったことで家計状況が悪化したということは、いったい何を意味するのでしょうか。

これは、住宅ローン返済や口座引き落としなどの「固定費」は変わりない半面、食費や日用品といった日々の財布から支出する「変動費」の管理が増加したということです。つまり、支出の仕方が変わったことにより、管理が十分にできなくなってしまっているということです。

実際、キャッシュレス決済が活用されることが多くなるにつれ、その「管理」に悩む人々からの相談が急増しています。今まで現金決済が中心だった私たち日本人は、その管理に不慣れであるため、混乱しがちなようです。使っているつもりはないのに、全部の決済を合わせてみると、いつもよりも支出が多くなっていたという家計もよく見かけるようになりました。

もっとも多く利用するのは「LINE Pay」「PayPay」

Tさん宅の支払い状況を詳しく聞きました。

もっとも多く利用するキャッシュレス決済は「LINE Pay」でした。LINE Payには「LINE Payカード」というプリペイドカードがあり、残高や支払い履歴を共有して利用できます。つまり、スマホアプリのLINE Payが使えればLINE Payカードで支払うことができるので、チャージ額を把握しておけば支出の管理が楽になるのです。

その次によく利用しているのが、「PayPay」です。PayPayのサービス開始当初は20%還元キャンペーンをしていて、パソコンを購入してかなりのポイント還元を受け、「おいしい思いをしました」(Tさん)。今ではそのような極端な還元はされませんが、利用できる店が多いので、手持ちのクレジットカードと連携させ、チャージ残額を気にせず使えるところも気に入っています。

他にも、楽天ペイ、メルペイ、d払い、auPayなどをスマホにインストールし、クレジットカードと紐づけて利用しています。それぞれにキャンペーンなどがあり、お得であると自覚しています。

Tさん夫婦は、スマートな支払い&「お得」追求の観点から、キャッシュレス決済を積極利用しているわけですが、やはりポイントやキャッシュバック、割引に関して過剰な期待をしすぎている感がぬぐえませんし、お金の管理も十分にできていないように思います。

還元された分があるから「少しくらい多めに使っても大丈夫」といった気のゆるみもありそうです。こういったことがお金の使い過ぎにつながっているのではないかとお見受けしました。