口コミに信憑性はない

このように、ただ「なんとなく」よいと信じてやっているものが、実はまったく意味がなかったり、そもそも逆効果だったり……というのは少なくありません。

本来、美容っていうのは、れっきとしたサイエンス。「効く」には理由があります。やるからには、効いてほしいっていうのが本音ですよね。

美容は、医学という学問に基づいてなりたっているもの。医学は必ず根拠が必要です。そして根拠には、それが正しいことを証明できる十分な量の客観的なデータが存在しています。これまで多くの医学者が研究に研究を重ねて積み重ねてきたビッグデータがあります。つまり、信頼に足るものです。

口コミだってデータにはなりませんか? 1000人の人が「効く」っていうものは、きっと私にも効くんだろうなって思ってしまいます。

そう思われるかもしれません。

データというのは、研究に応じて適切に集められた数字や画像のこと。決して体験談や口コミのことじゃありません。研究のためのデータは、厳格なルールに基づいて特定の手法で集められたうえに、さらに統計処理を施していて、非常に客観的なものになっています。そうでなければ根拠として認められないし、信憑性もゼロ。

体験談や口コミの「効く」とか「★5」っていうのは、「なにかの因子がどのくらい減った」とかって数値で示しているものじゃないでしょ。みんな試している条件もバラバラ。それがいくら集まっても、信憑性のあるデータにはなりません。

医学的視点のない情報を鵜吞みにすると危ない

いま、世の中にはたくさんの美容情報が溢れているけど、医師の目から見たら、アヤシイ、肌をぶっ壊してるだけのものもたくさんあります。

上原恵理『さわらない美容』(KADOKAWA)
上原恵理『さわらない美容』(KADOKAWA)

逆に、医学的な専門知識を持たない美容の専門家が「改善しない」と言っていることも、医学では治せたりするものもあります。

それなのに、一つも疑うことなく情報を鵜呑みにしてあれこれ手を出していた結果、本来なれるはずの肌よりはるかに悪化してしまったり、治せるはずのものをさらに悪化させていたりしてしまいます。

実際、美意識高くて我流でたくさん努力してきた人が毎日美容クリニックに大勢いらっしゃいます。しかしその人たちの肌って、一見キレイでも中身ボロボロです。

自分史上最高の美しい肌を達成する正道の美容法は、実はいまかけている時間とお金より、実はよっぽど早いし安いし、効果があるもの。

ぜひ、トラブルのしくみ、肌のしくみを知り、ちょっぴり医学的な視点で日々のスキンケアを見直してみてください。

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