小顔マッサージはたるみの原因に
たとえば、小顔マッサージを例に挙げましょう。小顔マッサージは、やればやるほど、将来のたるみをつくってしまいます。
皮膚の構造を考えてみましょう。皮膚には真皮という層があって、これはベッドに例えるとマットレスのような存在です。この層にはコラーゲンやエラスチンといった成分があり、いわばマットレスのスプリングの役割を果たしています。これらが立体格子状に規則正しく存在することで、お肌のハリが保たれています。
ではここで、ベッドの上でジャンプを毎日繰り返したらどうなるでしょう? だんだんスプリングがへたって、最悪、壊れてしまいますね。
肌をマッサージするというのも同じこと。すればするほど、コラーゲンやエラスチンのスプリングがへたります。皮膚と骨をつなぐ靭帯が伸びます。それらが重力とあいまって、どんどん垂れ下がって「たるみ」になっていくのです。今回は割愛しますが、さらにさわればさわるほど、「シミ」が作られます。
これが、医学が明かしてきた皮膚のしくみです。ぜひ、美容外科医・皮膚科医に、ふだんのスキンケアを聞いてみてください。肌にはなるべくさわらないようにしている人がほとんどですよ。
そもそもマッサージでは小顔になれない
さらに、マッサージで小顔にはなれません。
詳しくは割愛しますが、我々医師が骨の形を変えるとき、なにをしているでしょう? ノミやハンマー、ノコギリで骨を切ってつなぎ合わせています。たかだか人の手ごときで骨は動きません。もし、人の力で骨が動くようだったら、みんなちょっと転んだだけでポキポキ骨は折れているはずです。
むろん、人の手で脂肪も溶けません。人肌程度の温度で脂肪が溶けるようであれば、お風呂に毎日浸かっている人はみんなガリガリになっているはずです。
小顔になれると思ってやっていたその努力。小顔になれるどころか、将来の悩みの種を自らまいている状態です。
ほかにも、保湿や美白にダイエット……医学の目から見れば、「それ、肌を劣化させるだけ!」というものがたくさんあります。医師としては、「身体をわるくする努力」は看過できません。