日本独自の「自粛警察」が湧いて出る理由

また、同誌では外出自粛に際しての日本人の行動についても興味深く取り上げています。

緊急事態宣言の発令と、外出自粛に伴い、多くの施設が自発的に閉鎖しました。しかし、一部のパチンコ店は閉鎖を拒否、政府は自粛に応じない店舗名を公開していますが、これが逆効果に。「営業しているパチンコ店がある」という広告宣伝になったことで、お店に並ぶ行列が出来たという皮肉な結果を呼んだ、と言及されています。

また、日本では政府が強制力を持って、日本国民の自粛をさせられない代わりに、国民一人ひとりの健康意識と自粛要請への受容力が高かったことが勝利した側面も大きいと思います。しかし、同時に負の側面として「自粛警察」の発生を誘いました。他県ナンバーの車を傷つけたり、営業を自粛しない店舗へ脅迫の電話を入れる等々歪んだ正義感をほうぼうで発揮、逮捕者が出たりしているのです。

諸外国から見ると、「強制されなくても素直に政府の要請に従う」日本人の生真面目さと受け取っているでしょう。しかし、我々日本人同士だと、それが「(みんな我慢しているという)空気を読みなさい」という同調圧力に後押しされているという側面もあると感じます。海外の記者にはなかなか理解しづらいところでしょうが、日本人特有の「ムラ社会意識」の中で、「きちんと振る舞え」という同調圧力がはたらき、同調しない者には「けしからん」と問答無用のペナルティを与える自粛警察を生み出しているようです。

本当に難しいのはここから

同誌が報じたように我が国は「奇妙な勝利」を収めたのかもしれません。しかし、本当に難しいのはここからです。一度、解放された中国の武漢が再び閉鎖する憂き目にあったことからもわかる通り、自粛を解除するタイミングこそがもっとも難しいのです。日本は感染者を抑えましたが、自粛を解除すると再び大きな感染拡大につながることが予想されます。

強いブレーキにより、勝利を収めた日本。ブレーキペダルに置いている足をアクセスに乗せ変えるのは感染者を抑えることに成功するよりも、難しいのです。

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