「検察OB」も異例の反対意見書を法務省に提出

「安倍1強」といえども国民の怒りには勝てなかった。今国会での成立が見送られた検察庁法改正案を巡っては、多くの国民がツイッターで抗議の意志を表明した。さらに元検事総長をはじめとする検察OBも異例の反対意見書を法務省に提出した。

検察庁法改正案のどこが問題なのか。法案には、政権が必要と判断した場合、検事総長や検事長ら検察幹部の定年を最長で3年延長できるという特例規定がある。検察はときの政権にも捜査のメスを入れる。過去には元首相を逮捕したこともある。それだけに検察は独立性を担保した組織でなければいけない。

改正案が成立すれば、政権に好都合な人物を検察幹部として留任させ、捜査を恣意的に操る事態も起こりかねない。

2019年1月21日、就任の記者会見をする黒川弘務東京高検検事長
写真=時事通信フォト
2019年1月21日、就任の記者会見をする黒川弘務東京高検検事長

改正案は見送りではなく、「廃案」にすべきだ

今国会での成立は見送られたが、安倍政権は次期国会での成立をもくろんでいる。その証拠に、検察庁法改正案は一般の国家公務員の定年を延長する他の法案とともに束ね、継続審議の扱いにされた。先送りにしてほとぼりが冷めるのを待とうというのである。世論が今回の騒動を忘れるのを期待しているのである。

沙鴎一歩はこう主張したい。改正案は見送りではなく、廃案にすべきだ。国民は安倍政権のもくろみを見抜いている。私たちを馬鹿にするものいい加減にしてほしい。

安倍晋三首相はなぜ検察をコントロールしようとしているのか。改めて考えてほしい。政治はだれのためのものなのか。政治家はだれのために尽くすべきなのか。「桜を見る会」に集まって、媚びへつらう人々だけを重視するような政権はもういらない。数の力に任せて世を治めようとする首相にはうんざりさせられる。