韓国も「次期事務局長」を狙っているが…

産経社説は書く。

「日本は国民皆保険制度や医薬品開発など、保健・医療分野で世界でも有数のレベルにある。途上国での医療支援経験も豊富なうえ、資金力もある。最大の資金拠出国である米国との関係も良好だ。人類全体の健康に貢献できる要素はそろっている」

「国内の新型コロナ対策は途上にあるが、WHOの葛西健・西太平洋地域事務局長を筆頭に人材はそろっている。WHOはまた、32年前に日本人が初めて国際機関のトップになった組織でもある」

しかし、日本の最大の欠点は外交力である。産経新聞の論説委員ならそこをよく分かっているはずだ。外交力に自信があれば、2年後に控えるWHOの事務局長選に向けてすでに候補者を絞り込み、国際社会に対して水面下での打診を始めているはずである。

産経社説は韓国が次期事務局長を狙っていると指摘しながらこうも主張する。

「2017年の選挙では投票前年の秋に候補者が出そろい、活動を始めた。すでに次期事務局長選挙へは韓国が『新型コロナ対策で世界的な評価を得た』として候補者を出す動きが伝えられている」

「日本がWHOのトップを狙うのであれば、選挙戦の準備が早すぎるということはない。ただちに官邸に司令部を設けて政府が一丸となり、G7各国などの支持を取り付ける必要がある」

まだ間に合う。産経社説が主張するように安倍政権は本気で国際舞台で勝負に出るべきだ。さもないと、韓国や中国に出し抜かれる。

台湾の「防疫成功」は国際社会で共有する価値がある

毎日新聞の社説(5月15日付)も「コロナ下のWHO総会 台湾参加が国際協調の道」との見出しを付けてこう主張する。

「感染症は人類共通の課題だ。素早い初期対応でコロナ封じ込めに成功した台湾の経験は国際社会が共有する価値がある。日米欧など多くの国も参加を支持している。対コロナの国際協調を重視するなら中国は参加を容認すべきだ」

沙鴎一歩も世界は台湾から防疫を学ぶべきだと考える。

「台湾では世界に先駆けてプロ野球が開幕し、学校生活も正常化した。累計の感染者は400人台、死者も1桁にとどまっている」

人口は違うが、感染対策が世界で評価されている日本でさえ、感染者は1万6000人を超え、死者は750人を突破している。それに比べて台湾はたいしたものである。