2003年のSARS禍での「70人超死亡」が教訓に

なぜ台湾は防疫に成功しているのか。毎日社説はその答えをこう書く。

「2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)禍で70人以上が死亡した教訓から敏感に反応し、昨年末に武漢で肺炎発生が伝えられるとすぐに水際対策を徹底した。ITを駆使したマスク供給や感染者追跡も効果を上げた」

SARSの教訓。やはり経験がものをいうのである。

毎日社説は書く。

「台湾は09年から16年までオブザーバー参加していたが、17年から蔡英文総統が『一つの中国』を認めないことを理由に中国が反対し、不参加が続いている」
「中国は米国がウイルスの発生源追究などを政治問題化し、国際協調を妨げていると批判する。それなら中国も台湾の参加を政治問題化して国際協調の足並みを乱すべきではあるまい」

中国は台湾に対して意固地になっている。客観的に考えて、だれが台湾と中国を「1つの国」とみなすだろうか。そう判断するのは、習近平氏をはじめとする現在の中国政府幹部ぐらいのものだろう。

「コロナ禍を機にこれまでの台湾政策を見直してはどうか」

毎日社説は「1971年の国連決議で中華人民共和国が中国の代表と認められた。台湾は国連を脱退し、WHOなどの国連機関からも追われた。しかし、中国が台湾の利益を代表すると決まったわけではない」とも指摘する。沙鴎一歩もその通りだと思う。台湾はれっきとした国家であり、中国の私物ではない。軍事力をもち、アメリカの強い支持を得ている。

最後に毎日社説は主張する。

「20日には蔡(英文)総統の2期目の任期が始まる。習近平政権は蔡政権への外交、軍事的圧力を強めてきたが、台湾の反発を高めるだけだった。コロナ禍を機にこれまでの台湾政策を見直してはどうか」

中国の台湾政策の見直し。大賛成である。香港も度重なる民主化デモによって1国2制度が崩壊寸前だ。中国は台湾に対しても、この1国2制度を押し付けようとしてきたが、そんな思惑に乗るような台湾ではない。中国の習近平氏は思い知るべきである。

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