中国は「研究所から漏れた証拠は何もない」と反論
これまでアメリカと中国はウイルスの発生源や台湾のオブザーバー資格での総会参加をめぐって対立してきた。台湾の総会参加について、中国政府は「1つの中国」の原則を譲らず、台湾の参加に強く反対。一方、アメリカは台湾の参加を支持してきた。
新型コロナウイルスの発生源については、トランプ氏は「武漢市の研究所から漏れたという強力な報告書が出る」と主張。これに対し、中国外務省の報道局長は記者会見で「証拠があると言うなら示してほしい。それを出せないのは、そもそも証拠がないからだ。発生源は科学的に研究されるべきであり、世界の著名な科学者がウイルスは自然界によるものだと説明している。研究所から漏れた証拠は何もない」と反論している。
5月18日付の産経新聞の社説(主張)は「台湾の参加を拒んでいるのは、台湾を自国の一部であるとする中国であり、要求を受け入れてきたWHOのテドロス事務局長である」と指摘し、テドロス氏を次のように批判する。
「新型コロナウイルス対策で世界をリードすべきテドロス氏には、『中国に配慮して事態を過小評価し、感染拡大を招いた』として辞任を求めるインターネット上の署名が100万人を超えている」
「日本からWHO事務局長を出すべきだ」と書く産経社説
100万人を超える世界の人々が辞任を求めていることに対し、WHOやテドロス氏は反省の色がない。年次総会の冒頭で中国の習近平氏にあのような演説をさせるのもいかがなものか。産経社説は書く。
「テドロス氏は2017年の事務局長選挙で中国から大きな後押しを受けた。出身国のエチオピアは鉄道事業などで中国から多額の経済援助を受けている。トランプ米大統領はWHOのウイルス対応が中国寄りだとして資金拠出の一時停止を決め『中国の操り人形だ』などと非難を繰り返している」
エチオピアが中国から援助を受けている事実は沙鴎一歩も前述したが、習近平氏とテドロス氏は同じ穴のムジナなのかもしれない。
産経社説は「司令塔役に信用がなければ、ウイルスとの戦いに勝利はおぼつかない。とはいえ、批判ばかりしていては何も変わらない」と書いてこう主張する。
「先進7カ国(G7)は2022年の次期事務局長選に候補者を立て、WHO正常化への役割を果たすべきだ。日本から事務局長を出すことも有力な選択肢である」
見出しも「WHOの正常化 日本から事務局長誕生を」である。