進次郎がいま、やろうとしていることとは…
カーボンプライシングとは、炭素税や排出量取引などにより炭素に価格を付けること、を意味している。要はCO2対策を名目とした大幅増税のことだ。日本でも炭素税同様の税制が既に導入されており、地球温暖化対策税として約2600億円の負担が毎年徴収されている。この増税が行われるのか、新税が導入されるのかは今のところ定かではない。
欧州は炭素税として日本よりもはるかに高額な徴税を行っており、同税に対する住民の過激な抵抗運動が度々発生している。燃料税(炭素税の一種)の引き上げを企んだフランスのエマニュエル・マクロン政権が黄色いベスト運動に増税計画を粉砕された姿は日本でも報道されたことがあるので、目にしたことがある読者もいるだろう。
安倍政権は19年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定し、カーボンプライシングに関して「国際的な動向や我が国の事情、産業の国際競争力への影響等を踏まえた専門的・技術的な議論が必要である」と明記しており、環境省の20年税制改正要望にも同様の内容を盛り込んでいる。
安倍政権にはさらなる大増税に向けた空気
環境省としては昨年からの流れとして、同調査研究のための入札を発注したにすぎないのだろうが、経済危機の中でさらなる増税の準備を着々と進める政府の増税根性に閉口せざるを得ない。
黄色いベスト運動の際、マクロン大統領は「ガソリンを買う現金がなければ、電気自動車を買えばいい」というニュースが出回って評判を下げた。新型コロナウイルス対策に伴う経済恐慌の中で、環境省がもくろむ大増税にはマリー・アントワネットも驚くに違いない。何かを言っているようで何も言っていない「進次郎構文」に照らし合わせれば、「必要性が高まっているので、増税が必要です」ということだろうか。
国民が期待を寄せる消費税減税の見通しが依然として立たない中、安倍政権にはさらなる大増税に向けた空気すら漂い始めている。減税に向けた取り組みをしっかりと応援し、さらなる増税には断固としたNoを突き付けなければ、日本は令和の時代に再び失われた○○年を繰り返すことになるだろう。