さらに、ちょっとした部品交換や改造によって業務効率アップや消費エネルギーの削減ができるなど、支払った以上の価値が得られる提案を受けたならば、資金が準備でき次第間違いなく購入するはずである。

<strong>カーナープロダクト代表取締役 横田雅俊</strong><br>長野県生まれ。設計士として活躍後、外資系ISO審査機関で営業職を経験。最年少、最短、最高記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスに。営業に特化したコンサルティング・トレーニングファーム、カーナープロダクト設立。著書に『1000人のトップセールスに学ぶ「売れ続ける会社」の営業法則』。
カーナープロダクト代表取締役 横田雅俊
長野県生まれ。設計士として活躍後、外資系ISO審査機関で営業職を経験。最年少、最短、最高記録を更新し、世界8カ国2300人のトップセールスに。営業に特化したコンサルティング・トレーニングファーム、カーナープロダクト設立。著書に『1000人のトップセールスに学ぶ「売れ続ける会社」の営業法則』。

このように、相手のメリットを第一に考え、かつ現状で支払い可能な範囲での提案をすることによって、顧客のパートナーとしてのポジションを獲得することができるのだ。

パートナーとして顧客と長期的な関係を築くためには、まず顧客を知る必要がある。事業環境や過去の実績など顧客を熟知し、顧客の潜在ニーズを引き出さなければならない。顧客が抱える最重要課題を把握し、期待を超える提案をすることによって、存在価値を認められるのである。

さらに、売れる営業担当者は自社の商品・サービスを起点としてではなく、顧客ごとに攻略のための戦略を立てている。たとえばオフィス機器販売会社の場合、「そろそろコピー機を替えませんか」と聞いているだけの営業担当者と、顧客がどんなビジネスを行っていて、いまどのような経営課題があり、何をしようとしているのかをヒアリングし提案をしている営業担当者とでは、営業成績にはっきりと差が表れてくる。

営業成績の格差を縮められるチャンスであるいまこの時期に、顧客との関係を強化するために企業も営業担当者個人もこれまでのやり方を変えなければならない。今回の調査結果を分析したところ、営業格差が生まれる原因は次の4つの特質やスキルの差にあることが明らかになった。(1)やる気、(2)種まき力、(3)部下指導力、(4)時間配分力である。

営業力を強化するために、この4つの力を中心に、組織として誤った営業方針を正すことが必要だ。組織としても個人としても、考え方を変えなければ14倍という格差は埋まるどころか、今後市場が回復したときにはより大きな差が開いてしまうだろう。

(構成=野崎稚恵 撮影=鷹尾 茂)