藤野真紀子

1949年東京都生まれ。聖心女子大学文学部(フランス史専攻)卒。79年夫の赴任先のニューヨークへ。82年帰国。85年雑誌で料理や菓子のページを手がけるようになる。87年夫の赴任先のパリへ。料理学校などで料理と菓子を学ぶ。90年帰国。91年初めての著書『パリに行って、習ったお菓子』を刊行。92年お菓子と料理の教室「マキコフーズ・ステュディオ」を始める(現在の生徒数約550名)。菓子・料理作りの指導のみならず、食育やフランス食文化などをテーマにした講演も多い。


 

1992年にお菓子と料理の教室「マキコフーズ・ステュディオ」を始めて、それなりに忙しかったんですが、2005年に衆議院議員に当選してからというもの、1年365日休みなしという状態になってしまいました。小選挙区はお休みとなれば、地元に帰らなければならないし、本当にお正月1日休めるかどうか、という感じでした。主人(元運輸省の藤野きみたか氏)も当時は参議院議員でしたから、お家でご飯を作って一緒に食べることはほとんど不可能でした。

議員生活を終え、10年には料理界に本格復帰したんですが、そんな議員生活で見たこと、学んだことを生かしつつ、いまも食育をはじめとする食問題に、東京のみならず地方でも取り組み続けています。

もちろん、お料理するのは大好きですが、議員の頃と変わらず、やはり外で食べることも多い。基本的には、家庭的で、味付けが濃すぎず、料理人との感性が自分と合っているお店というのが私の選択基準です。

最近のお店は、一般的に味が濃すぎるんです。日常生活で食べる既成食材やお惣菜に添加物が多いせいです。添加物などの多い食品では、塩味を強くしないと旨味を感じないらしいんです。で、そういうものを食べつけていると、レストランで食べるときも味が濃くないと満足できなくなってしまう。だから、レストラン側も旨味を感じてもらうために強い味にしてくるんです。こうした傾向は、健康面でも心配です。

今回ご紹介する「鹿角」さんは、肩肘張るような感じではないけど、ちょっと小粋で居心地がよく、味は本物という、なかなかない一軒。素材のよさをちゃんと引きだしていて、「ちょっと美味しいのよ」と、いつでも安心して人をお連れできます。

私は、犬がとにかく大好きで、いまも6匹飼っています。3匹はもともといる子たちで、残りの3匹は、ライフワークとしてやっている動物愛護活動の中で出会った犬たちです。犬との生活にはまり込んでいったのは、パリ滞在中でした。サンルイ島にあるお鮨屋さんに近所のマダムがラブラドールを連れてきてたりしているくらい、パリは犬連れ可のレストランが多い所でした。

ただ、日本のレストランではどうしてもテラス席とかに限定されてしまうのが現状で。その点、「カーニャ カーニャ」は、しつけさえちゃんとしていれば、犬連れで店内に座って美味しいものが食べられる。大好きで重宝なお店です。

私は、美食家ではなく、大食家なんです。初めて一緒に食事する人には驚かれるくらい。よく喋って、よく笑うから、すぐこなれるみたいなんです。娘からは「ママの仕事は天職」と言われています。