「歯周病は実は“手のひらぐらいの炎症”が口の中にあるようなものなんです」と王教授が言う。

「手のひらに大きな真っ赤な炎症が起きていたら、すぐに医療機関に行くでしょう。歯周病は体にはそれぐらい重要なことです」

「歯周病」が疑われる症状

歯周病は、進行すると歯と骨をつなぐ歯根膜が徐々に溶けて、歯を失う原因にもなるのだが、進行するまでは自覚症状がない場合がほとんど。

こうして歯周病は進んでいく!

「正常な状態の歯肉はピンク色で引き締まっていますが(図)、歯垢がたまっていくと歯茎に炎症が生じて暗赤色に腫れます(2)、歯磨きのときや硬いものを食べたときに出血しやすいですね。炎症が進行すると、歯と骨をつなぐ歯根膜が溶け、隙間(歯周ポケット)ができます(3)。歯を支えている骨が溶け始め、やがて歯茎が下がって、歯がグラグラと動きます。歯茎から膿が出て口臭も強くなりますね。重症になると骨がほとんど溶け、食事どころではありません(4)。歯が自然に抜け落ちてしまいます」(小川原医師)

出血しやすくなる(2)の段階で歯科医の治療を受ければ、正常な状態に戻るが、それ以上進行すると完全に戻すことは難しくなる。「歯が抜ける」という最悪の事態を防ぐため、「歯周病」が疑われる症状(表)を参考にしてほしい。

歯周病が疑われる症状