新型コロナウイルス対策の成功が大勝利を導いた

文政権を大勝利に導いたのが、新型コロナウイルスに対する防疫の成功だといわれる。

韓国では南東部の大邱(テグ)で、新興のキリスト教系宗教の教会で催された行事で集団感染が発生し、その後、1日だけで多いときには900人以上もの感染者が出た。韓国には2015年のMERS(マーズ、中東呼吸器症候群)コロナウイルスの感染拡大に対する防疫で苦労した苦い経験がある。

文政権はこの経験を生かし、1日2万件というPCR検査の能力を整え、国民の感染の有無を徹底的に調べ上げた。そのために独自のドライブスルー方式の検査も開発した。同方式は大きく評価され、世界に広まった。病院以外の軽症者を収容する施設も次々と完備した。情報公開もスピーディーに進められ、国民の不安を解消した。

防疫が大きな焦点となった選挙戦は結局、文政権の危機管理能力が高く評価され、支持率は66.2%に跳ね上がった。

韓国と文氏の「駄々っ子体質」はいまも変わっていない

現在、クルーズ船を除いた日本の累計感染者数は、4月18日に1万人を超えた。その後も感染者と感染死者が増えている。日本も韓国の防疫から学べるところはうまく取り入れ、感染の拡大を抑え込むべきである。

ただし、文政権に対する警戒は怠ってはならない。

総選挙に勝った文政権には余裕ができ、韓国民の反日感情を煽るような反日キャンペーンを繰り返す必要はなくなったとの楽観的な見方が日本国内にはある。だが、旧朝鮮半島出身労働者の元徴用工らによる訴訟問題で文政権は日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判断を根拠に譲歩はしていない。6月に差し押さえられた日本企業の資産が現金化されれば、日韓関係はさらに悪化することは間違いない。

「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA、ジーソミア)」問題を思い出してほしい。韓国は昨年11月22日に急きょ、常任委員会を開いてジーソミアの失効を回避することを決定し、日本政府に連絡してきた。失効回避の決定は失効期限(23日午前0時)の6時間前というぎりぎりだった。

あのとき、沙鴎一歩は「失効直前に破棄を取り消す韓国の駄々っ子ぶり」(2019年11月26日付)という記事で、「韓国は土壇場になって折れた。韓国も文氏もわがままな駄々っ子そのものではないか」と批判したが、韓国と文氏の駄々っ子体質は総選挙後のいまも変わっていない。