緊急事態宣言後、外出自粛は守られているのか

3月25日に行われた東京都による「感染拡大の重大局面」を伝える会見を経て、解禁ムードは一転、自粛へと立ち戻り、政府の緊急事態宣言によって空気はより深刻なものへと変わっていった。

緊急事態宣言以降の人の移動について、ヤフー・データソリューションが公開しているデータによると、外からの東京23区への来訪者は平時と比べて確実に減少している。2020年4月11日(土)を例にとると、区外から23区へ96万5000人が訪れているのに対し、1年前の4月13日(土)は160万6000人だ。これは位置情報を利用したデータであるため、来訪の目的までを読み取ることはできない。減少の理由は私用での来訪の自粛かもしれないし、職場がリモートワーク対応や休業などで出勤者が減ったためかもしれないが、少なくとも来訪者が60万人以上減ったのは確かである。

その一方で、メディアには相変わらず外出自粛をせず、外に繰り出す人の姿が映し出されている。

厳しく自粛する人がいる一方で、外出自粛をしない人もいるのだ。緊急事態宣言後も強制力のない外出自粛の要請は、やはり「守る人は守る」「守らない人は守っていない」というのが現状なのだろう。

「国民の資質に頼った対策」に不安の声

海外で日本の新型コロナウイルス対策が不安視されるのはここだ。日本の外出自粛要請はあくまで「協力のお願い」であり、「規律正しい」「真面目である」という国民の資質に頼った対策である点が怖いというのである。

実際に台湾メディア「聯合新聞」では、現在の東京の外出自粛について「日本人の国民性と『空気を読む』という集団意識によって、政府に協力している状態」と表現している。一見、その国民の資質頼りの対策は成功しているように見える。しかし一方で、スーパーに人が殺到し買い占めが起きたのは、市民の間で今後の生活への不安が、空気を読んで自粛することを上回った結果ではないかと論じている。