「他人否定タイプ」は怒りの感情が多い

リスク管理の観点からはネガティブなことを考えるのも重要ですが、何かストレスになる状況が起こった時、それを「他人(相手)のせいだ」と考える「他人否定タイプ」はこの新型コロナウイルス感染拡大を受けて、日々憤りを感じイライラする毎日だと思います。危機意識の違いから来る相手の言動に日々イライラしてるとストレスがたまる一方です。

このタイプの人は、何か想定外のことが起きたとき、自分以外の「他人」に原因があると考えます。心の底では、「人は自分のことしか考えていない」「他人は自分勝手である」「自分のことを利用しようとする」と心によろいをまとっています。得意な感情は「怒り」「イライラ」「腹立ち」などです。よく口にする言葉は「まったく……!」「なってない」「しっかりしろ!」など怒りの言葉や、相手を責める言葉。SNSで炎上を起こしやすい人にもこのタイプが多いといえるでしょう。

他人否定タイプの人は「他人」を受け入れることが大切です。残念ながら「他人」は変えることができないからです。

思考のタイプを認識し、考え方のクセを変える

できれば考え方を変えてストレスを軽減したいものです。

実は思考のタイプ、考え方のクセを変えることがこの悩みを解決することに大きくかかわっています。

私たちはよく他人を評して「あの人は怒りっぽいよね」「あの子はいつも笑っているね」などという言い方をします。では、感情はどれくらい種類があるのでしょうか。実は心理学では、人間には2185種類もの感情があるとされています。あなたはその感情のすべてを表して生きているでしょうか。振り返って考えてみても、そこまで喜怒哀楽を意識的に使い分けている人はいないのではないでしょうか。

みんなその中から、自分の得意な感情をいくつか選び取って表現しているのです。「怒りっぽい」人は2000種類以上ある感情の中から事あるごとに「怒り」という感情を自らチョイスしているというわけです。

人が多くの感情の中から特定のものを選ぶことについて、もうひとつの要因は、人の「記憶」に関係しています。

人は見たり聞いたりした新しい記憶は古い記憶に覆いかぶせていきます。そのため、古い記憶は活用しないと忘却曲線に乗って忘れ、なかなか思い出せないのです。

また、人は生きていく中で忘れたい記憶もあるため、忘れることは悪いことではありません。脳には記憶を消していくメカニズムも盛り込まれています。

人の脳は高度だからこそ、残しておきたい記憶は「復習」を行い、思い返すことでその内容を新しい情報として脳内にとどめておくことが必要なのです。これを繰り返すうちに、やがて頭の中に定着していきます。

感情の定着にもこれと同じことが言えます。

「どうしてあの人はマスクしないで歩くのだろう」「喫煙がリスクだというのにまだたばこを吸っている人がいる」というようなことを繰り返し口にして、「怒り」「イライラ」という感情を湧きあがらせているうちに、それが記憶として頭の中に定着して、事あるごとに浮かび上がってくるようになると「怒り」「イライラ」という感情が「得意な感情」になっていくのです。