考えを変えると感情が変わる
「幸せ」や「喜び」というポジティブな感情は忘却曲線に乗って忘れ去っている一方で、「怒り」「イライラ」といったネガティブな感情は何度も何度も繰り返し思い出していると、ネガティブな感情が得意なものとして頭の中に浮かびやすくなっているのです。
この感情を変えるためには「考え方」を変えないといけません。
脳の働きを見てみると、まず「考え」が脳内に出来上がり、その後「感情」が生まれます。つまり、感情そのものを変えることはできませんが、考えを変えることで感情は変えることができる、というわけです。
コロナウイルス感染症になった人がいるとの情報を聞いたときに、他人否定タイプの方は、「うつされるかもしれない。迷惑な人だ」「自己管理ができていないだらしない人だ」と考えて、「怒り」「イライラ」の感情が湧き起こります。
このネガティブな感情を解消するには「自分は他人を否定的にとらえる傾向がある」ことを認識し、「コロナウイルスは人にうつる感染症だからこそ、誰でも感染するウイルスだ。私自身、さらに感染対策に意識を向けるようにしよう」とバランス良い考えをつくるようにしてください。そのうえで、「冷静」「平常」といった感情を持てるようにしてください。
自分の考えは自分で変えられます。しかし、他人の考えや行動は変えられません。自分と違う他人の考えや行動は、違いがあるからこそ、気になるのです。人の考えや行動で気になることがあれば、「気が付かなったことを気づかせてくれた」ことへ感謝の気持ちを持ってください。
イライラする相手にこそ感謝を
自分の考え方を変えるもう一つの方法は、身近な人への感謝の気持ちを持つということです。
他人にイラっとしているのに、その相手に感謝の気持ちを持つというと、難しいと思われるかもしれません。しかし、今のように社会活動が制限され、思うようにならない中では視野が狭くなっているものです。
「人の振り見て我が振り直せ」「人こそ人の鏡」ということわざがあります。他人を見て、自分を変えようという考えですが、そもそも「人は違って当たりまえ」ということです。
人の考えや行動で気に入らないことがあり、「自分勝手な人」「わがままな人」と考えて「イライラ」の気持ちを持ったときに、「気が付かなったことに気付かせてくれた」という考えと「感謝」の気持ちを持ってください。「感謝」の感情は、オキシトシン(通称・愛情ホルモン)といわれる脳内ホルモンの分泌を促すことがわかっています。オキシトシンは不安や恐怖の感情を低減させます。また、免疫力を高める機能もありますので新型コロナウイルス感染症対策としても大いに役立ちます。
イラつく相手に感謝の気持ちを持つことは、実は自分を救う手がかりになるのです。