趣味は仕事でつまずいた時の救いになる
Cさんは、メンタルヘルス不調から休職になった40代の一人暮らしの女性でした。元々は週末出かけることが好きだったのですが、忙しさのあまり疲れ果ててテレビとYoutubeのみで週末を過ごすようになり調子を崩したとのことでした。
産業医として毎月面談を続けた結果、3カ月目から睡眠も安定してきたため、日中の時間を趣味など好きなことをして過ごすことを提案。
ただ、「何か新しいことを始めるにも趣味がないため、何をしたらいいかわからない。昔はカメラをやっていたのですが……」とうかがったので、外出の際、気が向いたら写真を撮ることを提案しました。
1カ月後、写真について聞くと、昔のように植物の写真を撮り始めたとのこと。公園は楽しそうに遊ぶ人たちがいて、やや行きづらいため、地方の静かなお寺や神社が落ち着くようでした。また、その土地土地の歴史などをインターネットや図書館で調べてみるのも意外におもしろいと教えてくれました。
現在、Cさんはすっかり元気になり、復職を果たしています。復職後の面談で、今は同じような趣味をもった人たちとSNSのコミュニティーを作ったり、オフ会もしたりしているそうで、毎週末楽しく気分転換できているようです。
趣味があるといい理由は3つあります。1つめは自己肯定感を高めてくれること、2つめは気分転換にもなります。3つめは、仕事以外で何らかの形で他の人とつながるきっかけになることです。人は誰でも、自分が所属する社会や人間関係でつまずいた場合、そこに行くのが億劫になってしまうことがあります。そのような時に、あなたの心を救ってくれるのが、趣味の人間関係なのです。
休日は「テレビとスマホとYouTube」は危険信号
忙しさのあまり元々もっていた趣味をしなくなった人で、休日を自宅でテレビとスマホとYouTubeで過ごすようになる人を散見しますが、産業医的には、これは危険信号と認識しています。確かに身体は休めていますが、ダラダラと受動的に過ごしているだけでは、気分が晴れるような気分転換にならず、また、現実世界での人との接点が生まれにくいのが心配です。特に最近の新型コロナウイルスの情報があふれる状況では、人によってはテレビやSNSで不安が増えてしまう人もいるくらいです。テレビやYouTubeは、あくまでお気に入りの番組を見るなど、目的を持ったり、時間を区切ったりしての利用が安心です。
皆さんは、趣味はお持ちですか? 趣味がない人は趣味を見つける、趣味を持っている人はその趣味を継続することをぜひ実践してください。