ストレスに弱い人の思考回路には特徴がある

よく言われる話ですが、コップに水が半分ある時に、「まだ半分もある」と考える人と、「半分しかない」と考える人がいます。このような物事の解釈の仕方、捉え方は「認知」と呼ばれています。認知とは、物事(事象)の解釈の第一歩となる思考、思考回路のクセとも言えるものです。

自分をラクにする方向に物事を認知する傾向が強い人がいる一方、自分をラクにしない、むしろ追い込んでしまう方向に認知してしまう人たちもいます。そして、後者の人のほうが、やはりストレスには弱いのです。

これは、物事において、起こったこと(過去)や起こり得ること(未来)を、ポジティブに捉えがちか、ネガティブに捉えがちかという2つに大別されます。

過去に対してポジティブかネガティブか、未来に対してポジティブかネガティブかに分けられる
画像=武神健之
過去に対してポジティブかネガティブか、未来に対してポジティブかネガティブかに分けられる

自分を責めすぎて体調を崩したKさんは…

例えば、過去をネガティブに捉えてしまいがちな人、自分をラクにしない方向に未来を想像してしまう人は、自分の昇進を「左遷かも」とか、「他に人がいなかったから…」と、過去をネガティブに解釈しがちです(左下:赤)。例えば、社内で優秀な人の多い花形部署に異動になったとき、その部署内で自分が活躍するイメージよりも、「ついていけないのではないか……」と不安になるという具合です(右下:ピンク)。

一方、このような人たちと逆な認知傾向を持つ人たちは、自分の評価も優秀な同僚たち同様に高いことを疑わず(左上:青)、素直に「これからのキャリアも明るいぞ」と喜び自信をもちます(右上:水色)。

こんな例があります。Kさんは、とても真面目で自分に厳しい性格の女性社員でした。しかし、その性格は、時に自分を追い詰めてしまい、体調を崩した結果、産業医面談に頻繁に来るようになりました。

面談に来たときのKさんは、仕事でベストな結果が出なかったときは、自分のせいだ、自分の努力が足らなかったからだ、と自分を追い込むほどに反省し悩んでしまうタイプでした。ある程度の自己反省は成長につながるため悪いことではないのですが、自分を責めすぎて体調を崩すようになってしまっては元も子もありません。