フルリモートのほうがマネジメントしやすい
業務のプロセスは、問い合わせがあったクライアントに、営業がビデオ会議ツールを使って商談し、契約が決まればオンライン契約ツールで締結。そして、フロントと呼ばれるポジションがクライアントとやりとりして依頼内容を詰めていき、担当チームがつくというもの。ホラクラシー型組織(役職や肩書をなくして、上司や部下といった上下関係が存在しないフラットな組織体制)だ。
「役職者は取締役とマネージャーの15〜20人で、階層はほぼないに等しいフラットな組織が特徴です。担当チームにはリーダーがいますが、あくまでも役割で、役職ではありません。チームのコミュニケーションはチャットで行われ、全体で数千あるうち、私は会社の重要なポイントとなるチャットに100弱入っています。フルリモートワークでも、チャットなどを活用すればいつでも業務状況を把握できますし、むしろマネジメントしやすいです」
リモートワークは、「目が届かないのでサボるのでは」という懸念を抱かれやすい。そのため、コロナ禍で急遽リモートワークを始めた企業によっては、写真に画面のキャプチャを記録させたり、ビデオ通話を繋ぎっぱなしにさせたりなど、監視体制を敷くことも少なくない。だが、キャスターではそういった監視を一切行っていないという。では、どうやって仕事を課しているのだろうか。
ネット上で監視せずに人事評価を下す方法
「仕事の様子を監視するのではなく、時間と業務量を掛け合わせて稼働状況がわかるようになっています。グループ内で、Aさんは勤務時間中に80%稼働していて、Bさんは60%しか稼働できていない、といったことがわかるのでサボりは抑制されます。
どのような仕組みかというと、クライアントの依頼内容に対して、過去の履歴や他の似たような案件を参照し、業務量を時間の単位に落として料金を請求しています。この時間内で最大限に仕事を終わらせたことがグループの成績に跳ね返り、それが給与に反映される。すると、ベテランになればなるほど決まった時間の中で最大量をこなすようになります。入社したての人からは『ベテランの人のスピードに追いつけない』という声も多いですね」
リモートワークは、仕事をしている人とそうでない人との差がハッキリと表れやすいと言われているが、まさにその性質を利用して程よい緊張感を保っているようだ。また、仕事上の堅苦しいやりとりだけではなく、雑談のような緩いコミュニケーションも行われているという。