しばらく違うことをやって距離を置く

その対処法として、私は「しばらく違うことをやって距離を置く」ということをしています。距離を置いている間は、なるべくこれまでとは違う体験をしていきます。

矢澤亜希子『運を加速させる習慣』(日本実業出版社)
矢澤亜希子『運を加速させる習慣』(日本実業出版社)

違うことをやっているうちに、「そういえば、またあれをやりたいな」というような気持ちになってきたタイミングで戻るのです。久しぶりにやると急におもしろく感じたり、以前はうまくいかなかったことを冷静に見つめることができるようになったりするのです。

私の場合、「世界チャンピオンになる」という大きな目標があり、それがモチベーションとなっていた時期がありました。ですが、それを実現したあとは、「世界チャンピオンになりたいから強くなりたい」というモチベーションがなくなってしまったのです。今では、「3回目の世界チャンピオンになる」という目標がモチベーションになっていますが、続けることの厳しさを感じないわけではありません。

そのようなときは、バックギャモンにこだわらず、新しいことにも挑戦しています。このような自分なりの対処法から思うのは、バックギャモンはもともと好きでやっていたことなので、やはりやりたくなるということです。たとえば、新たに強いプレーヤーが出てきたという話を聞くと、「そういう人たちに負けたくない」という気持ちが芽生えてきます。これが、新しいモチベーションになるのです。

普段と違う道を通ったときの新鮮なショック

また、慣れてしまったやり方を変えてみることで、モチベーションに変化を与えられる場合もあります。

たとえば、小学生のころ、私は大人に決められた通学路を愚直に守って、毎日、同じルートで自宅と学校を往復していました。しかし、あるときほんの少し違う道を通らなければいけないことがあって、驚いたことがありました。自宅の近くに大きな犬を飼っているお宅があることにはじめて気づいたからです。1本違う道を通るだけで新しい世界が広がっていることに、大変なショックを受けたことを覚えています。