首相が陸相、内相を兼任する異例の組閣

10月17日、組閣の大命を受けた東条は、閣僚の選考に入った。陸相は、陸軍三長官会議(陸相、参謀総長、教育総監)において、東条自身の希望で首相との兼任が決まった。これは木戸内大臣の意向によっていた。

川田稔『木戸幸一』(文春新書)
川田稔『木戸幸一』(文春新書)

陸軍統制のためだった。また東条は自身の判断で内相も兼任した。東京裁判の宣誓供述書によれば、戦争回避となった場合の国内の混乱に対処するため、とされている。

海相については、海軍側は豊田副武そえむ呉鎮守府司令長官を推したが、豊田はそれまで東条ら陸軍との折り合いが悪く、東条が忌避した。そこで結局、嶋田繁太郎横須賀鎮守府司令長官を推薦し、嶋田が海相に決定した。

そのほかは、外相に東郷茂徳、蔵相に賀屋興宣、企画院総裁に鈴木貞一、商工大臣に岸信介、内閣書記官長に星野直樹などが就く。

こうして、10月18日、東条英機内閣が成立した。東条は陸軍大将に昇進し、現役のままで首相、陸相、内相を兼ねた。異例のことである。

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