アリババとツートップを極めるも「暴落」
その後、米国市場に上場していたアリババが時価総額でテンセントと肩を並べると、両者の間で激しい覇権争いを繰り広げながら、アジア企業の“ツートップ”として快走します。そして、2017年11月、テンセントはフェイスブックを上回り、世界ランク5位にまで上り詰めます。ところが2018年に入ると、テンセントとアリババの株価は軟調に転じてしまいます。特にテンセントは、いったん「暴落」ともいえる状態に突入してしまいました。2019年に入ってアリババの株価は持ち直したものの、テンセントはいまだ苦戦を強いられている状況です。
オンライン上のコミュニケーションツールで創業
テンセントの創業は、1998年11月です。当初のメイン事業は、オンライン上の「インスタント・メッセンジャー」でした。インスタント・メッセンジャーとは、電子メールよりも気軽にメッセージのやりとりができるコミュニケーションツールで、2000年代前半頃に流行したサービスです。知り合いにメッセージを送ると、相手のパソコン上に通知され、リアルタイムにメッセージの送受信ができます。現在、一般的に「チャット」と呼ばれる機能を持った、さきがけのサービスといえます。
テンセントが創業した頃には、すでに「Yahoo!メッセンジャー」やマイクロソフトの「MSNメッセンジャー」などがありました。中国国内では、テンセントの「テンセントQQ」(以下、「QQ」)が最初に商用化されており、無償公開もされました。その後、テンセントは2005年に「QZone」というサービスを開始します。いわゆるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、写真や動画、テキストなどを知人・友人と共有できる機能を備えています。ただし、独立したサービスではなく、QQのプラットフォーム上に設定されていました。2004年に始まった、フェイスブックや日本の「mixi(ミクシィ)」よりも、少し後の時期になります。