コロナ禍でも続ける、政府のふざけた回答

20年3月24日参議院財政金融委員会において、浜田聡参議院議員が上記の公聴会での発言について問題視すると、政府は「経団連の立場を述べただけで中村氏の意見では必ずしもない」という趣旨の回答をしたが、これほどふざけた回答はないだろう。同氏は経団連の税制委員会の責任ある立場にあったことは明らかだからだ。百歩譲って立場に応じて財政金融政策の見識が左右される人物を国会に推薦すること自体があり得ないことだろう。日銀政策委員会の審議委員は政府の税財政政策に関して直接権限を持つわけではないが、日銀の決定が日本政府の税財政政策に影響を与えることは自明だ。

つまり、新型コロナウイルスに伴う経済危機が顕在化していた3月17日、日本政府はこの期に及んで増税派と見られても仕方がない人物を経済政策の重責を担うポストに推薦したのだ。昨年の消費増税はコロナウイルス問題と同様に日本経済に深刻なダメージを与えており、この政府人事案は示す行為は危機感がないというよりも社会常識が欠落した所業だと言えるだろう。

商品券からして、政府与党と国民の乖離は著しい

また、政府与党の経済危機への対策案としての補正予算も極めてインパクトに欠けるものだ。政府は補正予算を取りまとめる過程において、その内容について何度も観測気球の報道記事を垂れ流してきた。その際、未曽有の経済危機に際して、自民党農林部会や水産部会からは和牛商品券などの業界利権丸出しの主張が行われる姿は国民の眼からは極めて奇異なものに映った。新型コロナウイルス問題が表面化した1月段階で準備を始めるべき経済対策について4月に入ってもまだ議論していることにも驚かされるが、日銀人事に示された程度の税財政策に対する問題意識なのだから、政府与党と国民の意識との乖離は著しいものだと想定するべきだろう。


 自民党若手有志による消費減税を柱とする政策要望の記者会見も開催されたが、執行部は与党案として消費増税減税並みの給付を行うことで応じただけだった。むしろ、政府与党として断固たる消費減税の拒否の姿勢を見せつけた状況となっている。実際、これらの若手議員は消費税減税へのゼロ回答はもとより、今回の問題だらけの補正予算に賛成票を入れるだけの事実上マシーンでしかない。実際、消費減税法案の作成を参議院法制局に依頼するという具体的な行動を起こしたのは、100人超存在するとされる自民党若手有志ではなく、僅か2名の会派でしかない前述のN国の浜田聡参議院議員だったことは何とも皮肉だ。