「日本人と接触することができれば、考えが少し変わる」

思わず吹き出してしまった。「僕らはどうでもいいですけど」とは正直すぎる。辛さんも中国政府の歴史認識について、疑問を呈する。

宮崎紀秀『習近平vs.中国人』(新潮社)
宮崎紀秀『習近平vs.中国人』(新潮社)

「侵略の歴史は日本だけではなく中国にも責任があります。やられたのは遅れていたからです。遅れていた原因は当時、中国が鎖国をしていたからです」

彼らの考えは中国政府よりはるかに柔軟で、理性的である。

安倍総理の靖国神社参拝を受け、劉延東副首相はその日午後予定していた日中友好議員連盟訪中団との会談を急遽取りやめた。中国側の怒りを示す為である。

こうしたニュースは、国営メディアを通じてお茶の間に届く。それは中国政府が発するメッセージだ。国民はそれを敏感に汲み取り、反日を口にする。

そんな反日感情を抱く人たちについて、徐さんは次のように話す。

「多分、彼らは日本と接触した経験がなくて本当の日本人についてよく分かっていない。(国家)指導者たちの話だけを聞いて、間違ったイメージを持っていると思う。教育が原因で、日本人が友好的でないと考え、友人には不適切だと思っている。日本人と接触することができれば、考えが少し変わると思います」

反日の「建前」と庶民の「本音」が共存している

蒼井そらが本格的に中国で活動するようになったのは2010年。反日デモの嵐が吹き荒れる2012年までの2年間で、彼女は十分に中国での知名度を上げた。

一部の人にとっては、アニメや家電と同じように、生活に深く入り込んだ「身近な日本」の1つとなった。

「尖閣諸島は中国のモノ。蒼井そらは世界のモノ」

若者たちから、自然に沸き起こったこのフレーズは、反日を落とし所とする「建前」と、それとは別の庶民の「本音」が共存している、中国社会そのものを巧みに表しているのだ。

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