日本の新卒採用も厳しさを増す。社会的安定の確保を急げ
日本も他人事ではない。3月以降、失業率はまちがいなく上昇するだろう。それに、4月からの入社直前に内定を取り消された若者も少なくないようだ。2020年度の新卒採用は、残念ながら非常に厳しいものになる。経済的には仕方がないのかもしれないが、一方で社会的な安定を考えればこうした事態をただ放置するわけにはいかない。
今回のコロナショックを受けて、各国政府は失業・休業手当の拡充を試みている。他方で、若者の雇用対策という観点では、具体的な取り組みがなされていないケースがほとんどだろう。若者の雇用を守った企業には潤沢な助成金を出すなど、若者の雇用を確保するための具体的な支援が求められるところである。
また企業サイドも、若年層の雇用を確保する取り組みに注力すべきだろう。一家を支える中高年の雇用確保はもちろん重要であるが、同時に社会を持続可能なものにさせるためには、若年層の雇用を維持していく必要がある。企業もまた政府の政策頼みではなく、より大局的な観点に立ち、若年層の雇用の確保と維持に努めていくことが望まれる。
筆者はミレニアル世代に属するが、幸運なことにバブル崩壊後の就職氷河期を脱した後の2000年代半ばに職を得ることができた。それからほぼ10年ごとに大きな経済ショックが世界を襲い、心が痛いことであるが、そのたびに若者の雇用が犠牲となってきた。労働市場の流動性は確かに大切だが、一方で社会的安定を確保できる仕組みの構築が、世界的に急がれているといえよう。
それに、今回の経済危機で各国は大型の経済対策を用意しているが、その元手はまちがいなく将来世代への借金だ。そのツケの何もかもを若者や子供に背負わせるわけにはいかない。こうした点をわれわれ一人一人が今一度自覚し、若年層の雇用の維持と確保に努める必要があるのではないだろうか。