ギャップ分析思考をリーダー育成に使う
リーダーシップギャップ分析ではまず、戦略計画の各目標に照らして必要となるリーダーシップを明確にする。次に、それに対して、手持ちのリーダー候補がどの程度対応できるかを評価し、不足な点を特定する。年間を通して戦略的ゴールが変更されるか、新たなゴールが設定される場合には、リーダーシップの内容を再検討する。
分析によってリーダーシップギャップが明らかになれば、次の3点が優先課題となる。
[1] 供給 戦略目標の達成に必要な能力を持つ人材を集める。
[2] 配置 基本は適材適所。主力部門が持てる力を完全に発揮していないとすれば、優れた人材をその戦略的中枢に配置換えする。
[3] 遂行 何が求められているかを理解させ、それを達成するための動機付けをする。
ドノヴァンのある顧客企業は、自然離職率と雇用予想を組み込んだ人的資源の5カ年モデルを作成した。この企業は分析結果に基づいて、離職率を抑え、リクルートによる人員増を図るという、典型的なマネジャー確保計画に着手した。興味深いのは、この計画に、部門横断的な社員研修とマネジャー交換の訓練を組み入れた点だ。
この訓練の目的には、人材過剰の非主力業務から人材不足の主力業務への社員の配置転換を促すことのみならず、ダイナミックな市場において瞬時に変化する好機をとらえられるように、全社的能力を向上させる狙いもあった。
「こうした動きに対応するのは人事部だが、仕掛けるのは、経営に責任を持つリーダーの役目だ」(ドノヴァン)。