「何をやるか」よりも「誰とやるか」が重要だ

アメリカの著名な経営コンサルタントであるジム・コリンズは、『ビジョナリー・カンパニー2』(山岡洋一訳、日経BP)の中で次のように述べています。

偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったわけではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうべきかを決めている。要するに、こう言ったのである。「このバスでどこに行くべきかは分からない。しかし、分かっていることもある。適切な人がバスに乗り、適切な人がそれぞれふさわしい席につき、不適切な人がバスから降りれば、素晴らしい場所に行く方法を決められるはずだ」

これを読んだとき、私は心底驚きました。実際に思い当たる節があったからです。

例えば、「借金玉さん」と出会ったときもそうでした。たまたまインターネットを検索していて彼の存在を知り、彼の書く文章を読んで、ぜひ一度、話をしてみたいと思いました。それで、Twitterのダイレクトメッセージで連絡してみたのです。まだ彼が初めての著作である『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)を出版する前のことでした。

「誰と仕事するか」からビジネスは生まれる

幸運にも彼は返事をくれて、私の会社に遊びに来てくれました。そこで意気投合し、一緒に起業に関するウェブメディアをつくらないかという話をして、記事の執筆を依頼したのです。「起業に関するウェブメディアをつくろう」から始まったのではなく、「借金玉さんと仕事をするのに、何をするのがいいだろうか」というところから、1つのビジネスをスタートさせたのです。

彼だけではありません。今私の会社の役員兼従業員として週4日働いている「つついさん」もそうです。

当時、私の会社の主要事業の1つを任せていたメンバーが、書類整理のアルバイトとして人の紹介で連れてきたのが彼女でした。いろいろ話をしてみると面白そうな人だったので、書類整理のほかにも記事制作や資料作成を頼んでいるうちに、気づけば、現在の主要事業の1つであるマーケティングオートメーションのコンサルティング事業をメインで切り盛りしてくれるようになっていました。

もともと彼女はITについてもマーケティングについても特別な知識があったわけではありませんが、なんとなく向いていそうだな、というところから1つの事業ができあがったのです。