医療機関に余裕を持たせるため軽症者は我慢を!

重要なポイントは、「ちょっと気になるから」という程度の人は検査しないほうがいいのだが、必要な場合、特に重症化を防ぐためには検査はどんどんやる必要がある、ということだ。大阪府の吉村洋文知事は、不安解消のために検査をどんどんやるということには反対だが、国が示した基準も厳しすぎるとして、重症化を防ぐのに必要な範囲で、検査対象を国よりも拡大した。非常に賢明である。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)
橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

さらにクラスターつぶしを徹底する場合には、濃厚接触者を追跡するための検査基準も今よりももう少し拡大した方がいいだろう。

しかし、テレビの情報番組における「希望者全員に検査をしろ!」という声に押されて、やみくもに検査拡大の方針をとってしまうことは、現段階では厳禁である。

今は、来るべき流行に備えて、医療機関の対応能力にできる限り余裕を持たせておかなければならない時期だ。そのためには国民にある程度我慢をしてもらわなければならないこともある。

それが、希望者全員に検査することは控えて、軽症者は自宅療養でなるべく回復してもらうことだ。

後に、無症状者や軽症者は一般病院や自宅療養で対応する仕組みを整え、濃厚接触者調査もほどほどの範囲に抑え、何よりも治療薬や治療方法が確立したときには、ガンガン検査をすればいい。

陽性者にはどんどん薬を渡せばいいし、たとえ院内感染が発生しても薬や治療で対応できる。

今はその体制が整っていないがゆえに、検査をやみくもに拡大してはならないのだ。検査はその国の対応能力に見合ったものにすべきであり、それは各国によって異なるのである。

(略)

(ここまでリード文を除き約2800字、メールマガジン全文は約1万4800字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.192(3月17日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【専門家「フル活用」のノウハウ(2)】ついにWHO「パンデミック」宣言! なぜ日本社会は諸外国より落ち着いているか》特集です。

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