インドでは砂の密輸業者が「権力」を握っている

規制が甘く管理がうまくできていない多くの発展途上国では、需要が増えるにつれて利益も増える砂の採掘がインフォーマルセクターの発展に一役買っている。

ヴィルジニー・レッソン『グラフと地図で知るこれからの20年』(河野彩・山口羊子訳、原書房)
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たとえばモロッコでは、砂の総採掘量の40~50パーセントが海岸での違法採取によるものだ。密輸業者はあちこちの海岸を岩だらけの景色に変えてしまった。

インドでは砂の密輸業者が国でもっとも権力を握っている。というのも、密輸業者は8000か所以上の非合法の砂浜から砂を採取し、実質的に建設産業のすべてを牛耳っているのだ。

建設業はインドの経済発展とインフラや住居が求められている恩恵を受けて非常に成長しているので、密輸業者の利益は政府や警察や公権力に「資金提供」できるほどに増えつづけている。

また、それほど後ろ暗い仕組みではないが、スペインなどの国で不動産バブルを維持できているひとつの理由は「骨材の原価の安さ」である。建設業界が資源の希少化と生態系に与える衝撃の対価を骨材に払わなくてはならなくなると、建築水準は低くなり、結果的に国は借金に対してより慎重になるだろう。

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